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相続税の支払いが遅れた場合や無申告時のペナルティとは?

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相続税の支払いが遅れた場合や無申告時のペナルティとは?

相続税の納付期限は、相続があったことを知ってから10ヶ月以内とされています。故人の法要や遺産分割協議など相続発生後の手続きは多く、大変ですが納付期限に間に合わない場合、ペナルティが課せられる場合があります。

本記事では、相続税納付手続きの流れやどのようなペナルティが課せられるかについて、解説します。

関連記事:相続登記の義務化|共有持分を相続した場合の申請期限はいつまで?

1.相続税申告・納付期限は10カ月以内

相続税の申告と納付期限は、相続が発生した日または、相続があったことを知った日から10か月以内と定められています。例えば、1月1日に相続が発生した場合は11月1日が期限です。期限日が土日祝日である場合は、翌日の平日が期限となります。

2. 相続税の申告・納付までの流れ

相続税の申告から納付までの流れは以下の通りです。

  1. 相続税の計算を行う
  2. 相続税の申告書の作成を行う
  3. 必要書類を準備する
  4. 期日までに税務署で申告・納付する

それぞれ解説するため、一つずつ理解していきましょう。

1.相続税の計算を行う

はじめに相続税の計算を行います。計算手順は以下の通りです。

  1. 遺産総額を算出する
  2. 遺産総額から基礎控除額を差し引く
  3. 遺産総額から債務や葬式費用などを差し引く
  4. 相続人が相続する遺産割合に税率を掛け、控除額を差し引く
  5. 控除制度を差し引く

相続税の計算は「財産調査」と「相続人の確定」が完了してから行います。しかし非常に複雑な計算であるため、税理士などに依頼することをおすすめします。自身で計算したものの、納税額を少なく申告してしまった場合はペナルティなどが課せられる場合も多いため、専門家に一任しましょう。

2.相続税の申告書の作成を行う

国税庁のホームページにある「相続税の申告書等の様式一覧」から申請書をダウンロードし、詳細情報を記載します。申告書は全部で第1表から第15表まであります。具体的な記載手順は以下の通りです。

① 第9表から第15表まで記載する

第9表生命保険金などの明細書
第10表退職手当金などの明細書
第11表11の2の表の付表1~4小規模宅地等の特例など
第11表相続税がかかる財産の明細書
第13表債務及び葬式費用の明細書
第14表相続開始前3年以内の贈与財産など
第15表相続財産の種類ごとの明細

② 第1表から第2表まで記載する

第1表相続税の申告書
第2表相続税の総額の計算書

③ 第4表から第8表まで記載する

第4表相続税額の加算金額の計算書
第5表配偶者の税額軽減額の計算書
第6表未成年者控除額・障害者控除額の計算書
第7表相次相続控除額の計算書
第8表外国税額控除額・農地等納税猶予税額の計算書

上記の項目をすべて記載できると申告書の作成が完了となり納税額が算出されます。はじめに計算した金額と相違がないかチェックしましょう。

3.必要書類を準備する

相続税の申告書が完成した後は、以下の必要書類を準備します。

  1. 被相続人の戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍謄本)
  2. 被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票
  3. 相続人全員の戸籍謄本
  4. 相続人全員の住民票(マイナンバーが記載されたもの)
  5. 相続人全員の印鑑証明書

4.期日までに税務署で申告する

必要書類の準備ができた後は、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署へ書類を提出します。注意しなければいけない点は、納付書が税務署から届くわけではなく、自分で手続きして支払わなければいけません。支払方法は以下の4つあり、原則一括支払いです。

税務署税務署窓口で納付
金融機関・郵便局金融機関・郵便局の窓口で納付
クレジットカード国税庁HPまたはe-Taxから「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスし納付手続きすることが可能
コンビニ税務署にて「バーコード付納付書」を発行してもらい納付可能(納付額が30万以下のみ)

3. 相続税申告・納付期限に遅れるとどうなる?

相続税は連帯納付義務があります。相続人の1人が納税しなかった場合や滞納した場合は、自分が受けた相続財産を限度として、他の相続人が連帯して納付する義務が生じます。そのため相続税は各人で正しい金額を納付しないとトラブルに発展する場合もあるでしょう。もちろん相続税の申告と納付が遅れるとペナルティが課せられます。また申告額が少なかったり、相続税を申告しなかった場合も対象です。さらにここでは4つのペナルティを紹介します。

① 延滞税・・・申告期限を過ぎた場合に課せられるペナルティ

延滞日数に応じた延滞税を納税しなければいけません。延滞税は以下の計算式で算出できます。

  • 延滞税=(相続税未納分×延滞税率×延滞日数)÷365日

延滞税の税率は2か月を境に以下のとおり定められています。(令和6年12月31日まで)

  • 延滞期間2か月以内の場合・・・2.4%
  • 延滞期間2か月以上の場合・・・8.7%

例えば未納金を50万円と仮定し、延滞日数を90日と仮定した場合、延滞税は「50万円かける8.7%×90日/365日=8,342円」となります。延滞日数が長くなるほど延滞税も大きくなるため注意しなければいけません。

② 過少申告加算税・・・相続税を過少に申告した場合に課せられるペナルティ

相続税の申告が少なかった場合に課せられる税金です。過少額(不足額)に対し、以下の税率が課せられます。

申告条件当初申告した相続税額または、50万円以下の多い方で未満の部分当初申告した相続税額または、50万円以下の多い方で超える部分
税務調査の事前通知を受けてから修正申告した場合5%10%
税務調査を受け、修正申告または更正した場合10%15%

③ 無申告加算税・・・申告しなかった場合に課せられるペナルティ

相続税が課せられるにも関わらず、申告しなかった場合に課せられるペナルティです。納税額に対し、以下の税率を掛けた金額を納付しなければいけません。

申告条件相続税額のうち50万円以下の部分相続税額のうち50万円以上の部分
税務署からの事前通知が来る前に、自主的に申告した場合5%
税務調査事前通知が来てから税務調査を行うまでの期間に申告した場合10%15%
税務調査後に申告した場合15%20%
過去5年以内に無申告加算税などが課されたことがあり、税務調査後に申告した場合25%30%

本来納める相続税に加え、無申告加算税も加えると大きな金額になります。必ず相続税は納税するようにしましょう。

④ 重加算税

相続税の申告を偽装したり、隠蔽したりすると課せられるペナルティです。

重加算税は過少申告の場合は納税額に対して35%、無申告の場合は40%を掛けた金額を支払わなければいけません。

また脱税などを行っていた場合は刑事罰にもなりかねないため、自身で相続税申告するのは非常に危険です。

後で計算が「間違っていた」「相続財産に含めるのを忘れていた」と言ってもペナルティは課せられます。そのため、税理士に計算してもらって申告するようにしましょう。

4.相続税の申告期限は延長できる?

相続税の申告は原則として延長することができません。「遺産分割がまとまらない」「他の相続人と連絡ができない」という理由であっても延長することは認められていません。

そのため、やむを得ず延長する場合は、法定相続分で分割したとして仮定して申告し、「協議がまとまった後に修正して申告します」という申告期限後3年以内分割見込書も同時に提出します。無事遺産分割協議などが完了した後に、しっかり修正申告するようにしましょう。

ただし、以下のような特別な事情がある場合は、2か月の申告延長ができます。

  • 胎児が生まれて相続人となった
  • 行方不明な相続人に失踪宣言がされた
  • 第三者への遺贈が発覚した
  • 遺留分侵害額請求が認められた

上記のように、相続人が変動したり、遺留分によって相続できる財産額が変わった場合は延長できる場合もあります。詳しくは専門家に相談して確認しましょう。

関連記事:共有名義で不動産を相続する際の相続税申告の手引き

この記事の監修者

福島 健太フクシマ ケンタ

税理士

税理士。東京税理士会品川支部所属。日本税務会計学会訴訟部門所属。福島健太税理士事務所代表。不動産デベロッパーから税理士に転身した経歴をもつ不動産と税のスペシャリスト。共有持分で不動産を相続される方が相続税を相談する税理士として多くの顧客を得る。趣味は釣り。

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