\ 無料相談・査定をする /

共有者が勝手に持分を売却したらどうなる?

更新日:
作成日:

共有者が勝手に持分を売却したらどうなる?

ご相談内容

5年前に父が亡くなり、実家(一軒家)とアパート2棟(同敷地内)を兄弟2人で相続し、各不動産については2分の1ずつの共有持分として相続登記が完了しております。

先日、兄から「不動産をすべて売却したい」と申し入れがありました。私は自分の自宅があるので、実家は売ってもいいと考えていますが、アパート2棟については今後も収益不動産として持ち続けたいと考えており、兄の提案を断っている状況です。

このままだど、兄が自分の持分だけ勝手に売却するのではないかと考えています。もし、第三者に兄の持分を売却した場合、私に何かリスクはあるのでしょうか。

何かいい解決策があれば、教えてください。

ご相談のポイント

  • 持分売却は単独で可能
  • 共有持分が第三者に売却された際のリスク
  • 共有持分の交換

①持分売却は単独で可能

共有名義の不動産を全体で売却するためには、共有者全員の同意が必要です(民法251条1項)。

これに対し、不動産の共有持分の売却には、他の共有者の同意は不要です。

お兄様は、実家の一軒家とアパート2棟の共有持分を全て売却することも、一部の不動産の共有持分だけを売却することも自由にできます。

今回の場合ですと、お兄様が、アパート2棟の共有持分を第三者に売却することを検討されている可能性があります。

②共有持分が第三者に売却された際のリスク

お兄様が共有持分を第三者に売却した場合は、ご相談者様と買主との共有関係となり、不動産の利用・管理・処分についても、常にご相談者様と買主との間で協議を行なう必要が生じます。

そして、共有者間での協議が纏まらない場合は、持分の買主がご相談者様を被告として共有物分割請求訴訟を提起する可能性があります(民法258条1項)

この訴訟には共有者本人若しくはその代理人弁護士が出廷する必要があるため、訴訟対応のために時間・労力・費用を要することになります。

また、共有物分割請求訴訟では、現物分割・代償分割(他の共有者の共有持分を買い取る方法)いずれの解決も困難である場合は、判決で競売が命じられることになります(民法258条2項・同3項)。

③共有持分の交換

今回のように、共有不動産が複数存在するケースの場合は、共有持分の第三者への売却や共有物分割請求訴訟とは異なる解決策として、共有持分の交換という方法も考えられます。

具体的には、2棟のアパートを便宜上アパートA・アパートBとした場合、ご相談者様のアパートAの持分とお兄様のアパートBの持分を交換する、あるいは、ご相談者様のアパートBの持分とお兄様のアパートAの持分を交換することで、各アパートを単独所有の不動産にすることです。

単独所有になれば、その上で不動産を売却するか保有し続けるかは、所有者が自由に選択することが可能となります。

なお、アパートAとアパートBの価値が異なり、交換する持分の価値に差が生じる場合には、差額を償金で精算します。

まとめ

共有持分の売却には、他の共有者の同意は不要です。

共有者間での協議が纏まらないと、共有物分割請求訴訟を提起される可能性があります。

そうなると、訴訟対応で大きな負担が生じることになります。

今回のように共有不動産が複数ある場合の解決方法としては、共有持分の交換を行ない、各不動産を単独所有とすることも考えられます。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

この記事のタグ

おすすめの記事はこちら