親子共有名義のデメリットとは?相続した不動産の共有状態を解消すべき理由
親子共有名義のデメリットとは?相続した不動産の共有状態を解消すべき理由
目次
親子共有名義の不動産は、一見メリットが多そうに見えるかもしれませんが、実際にはさまざまなデメリットが潜んでいます。特に相続後、親と子が共有名義となることで、売却やリフォームの際にお互いの合意が必要となり、手続きが煩雑になることが多いです。また、相続人の間で関係が悪化した場合、不動産の管理や処分が難航することもあります。
親子共有名義のデメリットとは?
不動産を親子共有名義で所有するデメリットは、以下の通りです。
- 売却や処分方法を巡って共有者間で意見が割れやすい
- 相続が発生すると共有者が増え権利関係が複雑化する
- 固定資産税の費用負担で揉めやすい
- 親が認知症等になると不動産の活用が不自由になる
売却や処分方法を巡って共有者間で意見が割れやすい
親子共有名義で不動産を所有している場合、売却や処分を行う際に、共有者全員の合意が必要となります。
親と子の意見が異なる場合、一方が不動産の全体売却を望んでも、他方が反対すると売却ができません。売却以外でも、長期間の賃貸や大規模な増改築についても、民法の規定により、共有者全員の同意が必要となります。
そのため、親と子で意見が割れると不動産の活用方法に制限が掛かってしまう点は、親子共有名義の不動産のデメリットと言えるでしょう。
相続が発生すると共有者が増え権利関係が複雑化する
親子共有名義で不動産を所有していると、相続が発生した際に、相続手続きが複雑になります。
親が亡くなった場合、親の持分が子どもに相続されることになります。その際、他の兄弟も共有者に加わる可能性があります。そうなると、持分割合などを巡って、相続人同士でトラブルになるリスクがあります。
また、共有者に相続が発生する度に、共有者は増え続け権利関係は複雑化していきます。共有者が増えることで、意思統一が難しくなり、不動産の活用に制限がかかるでしょう。
固定資産税の費用負担で揉めやすい
親子共有名義の不動産の固定資産税は、持分割合に応じて負担するものと定められています。(民法第253条第1項)
通常、固定資産税の納税通知書は、代表者一人に届きます。そのため、代表者一人が払っているケースも珍しくありません。
親子共有名義の固定資産税は、連帯納付義務があるため、どちらか一方が支払わない場合でも自分が代わりに全額支払わなければなりません。共有名義の不動産では、固定資産税の負担割合を巡って、共有者間でトラブルになることも多いです。
親が認知症等になると不動産の活用が不自由になる
最後に、親子共有名義でありがちなケースとして、親が認知症になってしまうケースです。
認知症が重度になると、「意思判断能力がない」とみなされ、不動産の売却など、「法律行為」ができなくなってしまいます。
先述した通り、不動産を売却したり処分したりする場合、共有者全員の同意が必要です。共有者である親が認知症になってしまった場合、不動産全体を売却するためには、以下の対応が必要になります。
- 認知症のレベルを確認する
- 成年後見制度を利用する
- 選任された後見人が親の代わりに売却の意思決定を行う
成年後見人を選任してもらうためには、家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が審査を経て後見人を選定します。この手続きには、数ヶ月かかる場合があるため、その間不動産の活用が不自由になる可能性があります。
認知症が進行する前に、子の単独名義にするなどして対策しておきましょう。
親子共有名義のメリットは?
親子共有名義で不動産を所有する最大のメリットは、税金やローンなどの金銭的な負担が軽減される点です。具体的には以下の通りです。
- 固定資産税や修繕費の自己負担が減る
- 親子でローンを組む場合、同居していれば双方に住宅ローン控除が適用され税金の軽減措置も受けられる
- 住宅ローンの借入可能額が増える
しかし、親子で共有名義不動産を所有することは、金銭的なメリット以上に、デメリットの方が多いと言われています。これから親子で不動産を購入予定の方は、長期的な視点を持ち、慎重に検討しましょう。
親子の共有名義を解消する3つの方法
親子の共有名義を解消する代表的な方法は、以下の3つです。
- 不動産全体を売却し共有状態を解消する
- 親子で持分の売買(贈与)を行い単独名義にする
- 自己持分のみを売却する
不動産全体を売却し共有状態を解消する
最も金銭的な対価が大きいのが、親子共有名義の不動産を全体売却する方法です。
親子間で、売却に合意できる場合は、不動産の資産価値が下がる前に早い段階で売却に向けて動くのがおすすめです。
親子で持分の売買(贈与)を行い単独名義にする
不動産は、そのまま所有し続けたいけれど、共有状態を解消しておきたい場合は、親子間で持分を売買または贈与するのが良いでしょう。
親または子の持分をどちらか一方が買い取ることで、単独名義の不動産になり、後々のトラブルリスクを回避することができます。
ただし、売買の場合は譲渡所得税、贈与も場合は贈与税が発生する可能性がありますので、税理士のサポートを受けることをおすすめします。
自己持分のみを売却する
- 親子で不動産の活用方針が合わない
- 親が認知症になってしまった
- 相続で共有者が増えすぎてしまった
このようなケースでは、自己持分を第三者に売却することで、共有状態を解消することができます。
しかし、共有持分の売却は一般的な不動産の市場価格と比べて、かなり安価になってしまいます。不動産の権利の一部を持っていても、不動産を自由に活用することはできないからです。そのため、共有持分の購買需要が少なく、結果的に売買価格が安価になるのです。
共有持分の売却を検討される場合は、共有持分専門の不動産会社に相談しましょう。一般市場では、購入需要が少ない共有持分ですが、専門の仲介会社であれば独自の販売ルートを確保しているため、持分の購入希望者を募ることができます。
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親子共有名義のトラブル事例
ここでは、本当にあった親子共有名義のトラブル事例を紹介します。
親子共有名義のつもりが、不仲の嫁と共有名義になってしまったケースです。
父の相続により、母(相談者)と息子は、共有名義で不動産を所有することになりました。母は、もともと、息子夫婦と同居していたものの、同じ空間で暮らすストレスから嫁姑の関係は悪化…。
見るに耐えかねた息子が、同居の解消を提案してきました。味方になってくれると信じていた息子は、嫁と一緒に出て行ってしまいました。
そんなある日、息子が事故で亡くなりました。相続によって、息子の持分を嫁が取得することになり、なんと不仲な嫁姑同士が共有状態になってしまったのです。
さらに事態は悪化します。嫁は、姑との共有関係を解消するために、勝手に自分の持分を売却。母は、嫁の持分を買い取った不動産会社から、「持分を買い取らせてほしい」と連絡を受けてその事態を把握しました。
このように、親子共有名義のつもりが、予期せぬ事態によって不仲な親戚や第三者と共有状態になってしまうケースもあり得るのです。
親子共有名義の不動産でお悩みなら中央プロパティーへ
センチュリー21中央プロパティーでは、親子共有名義の不動産に関するお悩みを解決してきた実績があります。
- 不動産を売却したいが親子で意見が割れている
- 相続で共有者が増えすぎて困っている
- 自分と親の持分だけ売却したい
- 親が認知症になってしまった
このようなお悩みは、当社にご相談ください。まずは、お客様のご状況をお聞かせいただき、共有名義に詳しいスタッフが最適な方法をご提案いたします。
この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。