法定相続分とは|用語集
法定相続分とは
関連記事:相続登記の義務化|共有持分を相続した場合の申請期限はいつまで?
法定相続分とは
法定相続分とは、民「法」が「定」める「相続分」のことで、相続割合の目安を規定しています。
法定相続人は、民法900条に定められており、第一義的には配偶者たる妻、子が、その次は親や兄弟姉妹…と続いていきます。
法定相続の順位と割合
法定相続では、相続の順位と相続人の遺産分割の割合が以下の通り定められています。
1. 第1順位の場合
相続人が配偶者と被相続人の子の場合には、それぞれの法定相続分は2分の1ずつになります。子供が複数人いる場合には、子供に配分された2分の1をさらに均等に分けていく形となります。
■子が2人の場合
配偶者:2分の1、子(1人目)4分の1、子(2人目)4分の1
■子が3人の場合
配偶者:2分の1、子(1人目)6分の1、子(2人目)6分の1、子(3人目)6分の1
2. 第2順位の場合
被相続人に子がおらず、両親がいる場合の法定相続分は、配偶者が3分の2、被相続人の親が3分の1になります。
3. 第3順位の場合
被相続人に子がおらず、また、両親もなくなっており、配偶者と兄弟がいる場合の相続分は、配偶者が4分の3、兄弟が4分の1になります。
法定相続分に拘束されない場合
法定相続分に拘束されないケースは3つです。
- 遺言書がある場合
- 寄与分がある場合
- 特別受益がある場合
以下、それぞれについて見ていきましょう。
1. 遺言書がある場合
民法第九百二条 被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。
とあるように、遺言で、共同相続人の相続分を定めることができます。ただし、遺留分を侵害するような遺言はできません。
遺留分とは最低限相続させなければならない相続分のことです。
2. 寄与分がある場合
寄与分とは、被相続人に特別の寄与があった場合、その相続人が相続財産を多く受け取るための制度です。
例えば、被相続人を献身的に看病していた、事業を手伝っていた等のような場合です。
例えば、相続財産が1,000万円あり、寄与者である相続人が貢献した分がそのうちの100万円と判断された場合、相続財産はそもそもその1,000万円から100万円を引いた900万円になり、それを共同相続人で分ける形になります。
3. 特別受益がある場合
特別受益とは、相続人が被相続人から生前贈与を受けていたり、相続開始後に遺贈を受けていたり特別に被相続人から利益を受けていることをいいます。
例えば、娘が嫁に行く場合に、亡くなった父からお金をもらっていたような場合です。
その場合、すでに被相続人から財産をもらっているため、通常通りに相続すると他の者と不平等になってしまいます。そこで、受益者には相続財産を少なく与えるべきという点から調整がなされます。
例えば1億円の財産を残して死亡したAの相続人には、妻B、長男C、次男Dがおり、長男CはAから自宅購入資金として2,000万円、次男Dは事業援助資金として1,000万円を受け取っていた場合、みなし財産は、1億+2,000万円+1,000万円=1億3,000万円となります。相続分の内訳は、
妻 :2分の1→6,500万円
長男:4分の1→3,250万円-2,000万円(自宅購入資金)=1,250万円
次男:4分の1→3,250万円-1,000万円(事業援助資金)=2,250万円
となります。
遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しいとき、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができません。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。共有物分割訴訟、遺産分割調停、遺留分侵害額請求など共有持分をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。