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共有持分の割合の決め方や計算方法を購入時と相続時でそれぞれ解説

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共有持分の割合の決め方や計算方法を購入時と相続時でそれぞれ解説

夫婦共有名義で新しく不動産を購入した際の持分割合とは?

家や土地など、不動産は決して安いといえる買い物ではありません。しかし、結婚や出産などを機に家を購入しようと考え、その際夫と妻の共有名義で購入される方もいるのではないでしょうか。

共有名義とは、1つの不動産の所有権を複数の人数で所持すること。例えば、家を共有名義で購入すると、夫と妻の両方が家の所有権を持ちます。共有名義にすると、1つの所有権を共有者全員で分配することになり、この共有者ごとに割り振られた所有権の割合を、持分割合と呼ぶのです。持分割合とは、所有権の何%を持っているかという意味。例えば、共有名義で家を購入して50%の持分割合があるとしたら、家の2分の1を自由に使える権利があるわけではなく、あくまで所有権の割合が50%あるということなのです。所有権の効力自体は、不動産全体に及びます。

では、持分割合はどのようにして決まるのでしょうか。ここでは、夫婦の共有名義で不動産を新たに購入する際の持分割合の決め方を解説します。

共有持分の割合の決め方・計算方法

ローンを組んで不動産を購入するのであれば、持分割合は共有名義となる共有者同士で自由に設定できます。しかし、自由に設定してしまうと後々トラブルにつながる可能性もあるので注意が必要です。そのため、よほどの事情がない限りは出資額と持分割合は一緒にしておくと良いでしょう。

出資額と持分割合を一緒にする場合、計算はとてもシンプルです。以下の計算式で求められます。

出資額÷不動産の価格=持分割合

具体例として、8,000万円の不動産を夫婦で購入した場合を考えてみましょう。8,000万円のうち、夫は6,000万円を、妻は2,000万円をそれぞれ負担しました。これを上の計算式に当てはめると以下の通りです。

このように、持分割合は夫が75%、妻が25%ということになります。

共有持分の割合が割り切れない場合の決め方

出資額と持分割合は同じ方が好ましいとお伝えしましたが、不動産の価格とそれぞれが負担する金額によっては計算上どうしても割り切れないケースが出てきます。計算で割り切れないときは、端数を調整して数字を整えましょう。先ほど同様、8,000万円の不動産を買うケースで持分割合が割り切れなかったときの調整例を見ていきます。

共有持分の割合が割り切れない場合の決め方

最初の状態だと夫が53.75%、妻が46.25%の共有持分だったものが、調整することで夫が54%、妻が46%ときれいに整えられました。

ただし、税務上は単なる調整ではなく妻の持分割合を夫に渡したとみなされるため、贈与税がかかる可能性があることには注意しなければなりません。年間110万円以上を超えた贈与には税金がかかってくるため、持分割合の調整を行う際は110万円を超えないようご注意ください。

親から資金援助があった場合の決め方

不動産を購入する際、一部の資金を両親から援助してもらうというケースもあるでしょう。資金の援助方法には親からお金を借りて購入資金に充てる借入、資金をもらって夫婦の資産とする贈与、購入時に親から資金を出してもらって一緒に不動産を購入する共同出資の3つがあります。

借入や贈与は一度夫婦の資産となり、それから不動産を購入するため、持分割合は通常と変わらず互いに出資した額に応じて計算します。借入や贈与で得た資金は、出してくれた親の子の出資額に合算すると良いでしょう。ただし、借入をした場合は親への返済、贈与は贈与税が発生することにはご注意ください。

一方、共同出資は親も夫婦とともに共有名義で不動産を買うことになります。つまり、親も共有者の1人となるのです。例えば夫の父が共同出資をしてくれたとすると、夫と妻、夫の父の3人が持分割合を持つことになります。その場合はそれぞれの出資額に応じて計算し、共同出資者を含めた人数分の持分割合を出してください。

夫婦共有名義の不動産を売却する方法とは?

共有名義で購入した不動産は、共有者の誰か1人の独断で売ることはできません。それは夫婦でも同じこと。夫と妻、どちらか一方の判断では売却ができず、共有名義人である双方の同意があってはじめて売却可能となるのです。

2人の同意があり、不動産を売却した際のお金は夫婦で分けることになります。持分割合に応じた金額を夫婦で分配しましょう。

夫婦の同意がなくてはならないと前述しましたが、それは共有名義のまま不動産を売却する場合のこと。なぜなら、不動産売却においては、共有者全員の承諾を必要とするためです。単独で所有権を有しているのであれば、独断で売却できます。

例えば、妻の持分割合を夫が買い取れば共有者はいなくなり、不動産の所有権は夫のみ。そうすれば、夫の独断でいつでも売ることが可能です。

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住宅ローンの組み方別の持分割合の決め方

債務者1人に対し、もう1人が連帯保証人になって組む住宅ローンです。連帯保証型の場合、返済すべき人間が1人のため、共有名義ではなく単独名義となりますので、連帯保証人になった人には通常返済義務はありませんが、債務者が支払えなくなった場合に返済義務を負うことになります。また、単独名義となるので基本的に持分割合はありません。持分割合を発生させるのであれば、連帯保証人になる人がいくらか頭金を出す必要があります。

連帯保証型で持分割合を発生させた場合、それぞれが支払った額を不動産全体の価格で割って割合を算出します。例えば、4,000万円の家を買うときに夫が頭金を600万円、妻が400万円を出し、夫が債務者、妻が連帯保証人になって連帯保証型の住宅ローンを組んだとしましょう。夫婦ですでに1,000万円を出しているので、返済すべきなのは3,000万円です。この支払いは債務者である夫にかかってくることになり、夫の出資額と考えます。不動産に支払った金額を考えると、夫は3,600万円、妻は400万円ですから、持分割合は夫が90%、妻が10%となるわけです。

連帯債務型の住宅ローンの場合

連帯債務型の住宅ローンは、債務者と連帯債務者を決めて組む方法。1つのローンに対して、それぞれが返済額を決めて支払っていきます。持分割合は、各自の返済額に応じて決定。5,000万円のローンに対し、夫の返済額が3,000万円、妻の返済額が2,000万円だとすると持分割合は夫が60%、妻が40%となります。

どちらも債務者なので、2人とも住宅ローン控除を受けられるのがポイント。住宅ローン控除は年末の時点で残っているローンの0.7%が10年間にわたり所得税から控除されます。受けられる控除は1人あたり最大40万円なので、夫婦2人が受けられれば最大80万円と節税につながります。

気を付けなければならない点としては、団体信用生命保険に加入できるのが債務者のみであるということ。夫が債務者で妻が連帯債務者の場合、夫が死亡などすると保険が適用されローンの支払いが免除されますが、妻に何かあった場合は保険に加入していないので夫はローンを払い続けることになります。

夫婦(親子)ペアローンの住宅ローンの場合

ペアローンは、夫婦や親子がそれぞれローンを組む方法です。最大の特徴は、債務者が夫のローンでは妻が連帯債務者に、妻が債務者のローンでは夫が連帯債務者になるという点。ペアローンでの持分割合は、頭金を含めた各自の支払金額によって決まります。

互いに別々のローンを組むので、連帯債務型の住宅ローン同様2人とも住宅ローン控除を行えるのがメリット。また、互いに債務者になるためどちらも団体信用生命保険に加入可能です。夫婦のどちらに万が一のことが起こっても団体信用生命保険が適用されますが、注意点が1つ。それは、保険が適用されるのはどちらか1つのローンに対してのみということです。ローンの支払いがすべて免除されるわけではない、ということは覚えておいてください。

相続で不動産を共有した際の持分割合の決め方

両親や配偶者が死亡したなどの理由から、不動産を相続することもあるでしょう。ただし、配偶者や子ども、両親など複数の相続人が存在しているケースが多く、その場合どのように持分割合を決めるのか気になるところです。不動産を相続したときの持分割合は、主に下記のいずれかの方法で決めます。

  1. 法定相続分に従う
  2. 遺言書に従う
  3. 遺産分割協議で決める

ここでは、上記に挙げた3つの方法について詳しく解説します。それぞれの持分割合の決め方には特徴があり、事前に知っておけば不動産の相続を受ける際に役立つでしょう。また、不動産の持分割合を相続してしまったときの売却方法もあわせてご紹介しますので、不動産の相続を受ける可能性がある方はぜひチェックしてください。

法定相続分で決める方法

例えば夫と妻、そして子どもが2人の4人家族がいたとしましょう。家の持分割合を夫が2分の1、妻が2分の1持っていました。このとき夫が死亡すると、夫の持分割合は妻に2分の1、子ども2人にはそれぞれ4分の1が相続されます。結果、夫が死亡後の家の持分割合としては、妻が4分の3、子どもがそれぞれ8分の1ずつを有することになるのです。

このように被相続人との関係性などから、誰がどのくらいの割合で相続するのかは法律で決まっており、これを法定相続分と呼びます。相続で不動産を受け取る場合、持分割合は法定相続分に従うのが一般的な方法です。

例でいえば、配偶者と子どもはそれぞれ2分の1が法定相続分です。子どもが2人いますから、子どもの法定相続分からさらに半分にした4分の1が相続されます。

遺言書がある場合の決め方

被相続人が遺言書を残しているケースもあるでしょう。遺言書は、被相続人の意思が書かれたもの。家の所有権をすべて妻に相続すると書かれていたのであれば、子どもが共有者になることなく妻が単独で家の所有権を得ます。もちろん、1つの不動産に対して妻は4分の1、子どもには4分の3を相続すると書いてあれば、原則としてその通りに持分割合を分けなくてはなりません。

遺言書に書かれている相続に関してはその通りにする必要がありますが、遺言書に詳しく明記されていないものについては法定相続分に従って相続されることになります。

しかし、遺言書で持分割合を相続したばかりにトラブルになることもあるので注意しなければなりません。後々のトラブルを回避したいという方は、遺言書には不動産を単独で相続する旨を書いてもらったり、生前贈与を受けたりして持分割合を相続しないようにしておくと安心です。

遺産分割協議で決める方法

不動産は税金がかかるから不要だ、共有名義にするよりも単独名義にしたいなどの理由から法定相続分と異なる割合を相続したいケースもあるでしょう。そんなときは、遺産分割協議をするのがおすすめ。遺産分割協議とは、いわゆる話し合いのことです。相続人全員が遺産分割協議の実施に同意すれば行うことができ、それぞれが納得のいく持分割合を決定できます。

法定相続分はもちろん、遺言書に持分割合について書かれていたとしても相続人全員の承諾があれば遺産分割協議は可能。持分割合が原因でお金や人間関係にまつわるトラブルが起こってしまうこともあるので、最初から持分割合の相続は不要だという人は相続時に提案してみても良いでしょう。

相続した自分の持分のみを売却する方法とは?

不動産を持っているということは、管理や固定資産税などの税金の支払いが必要になってきます。単独で相続した場合であれば売却も自由に行えますが、持分割合となると話は別。前述したように売却をするにも共有者全員の同意を得なくてはならず、手放したくてもできないかもしれません。また、そのままにしていても共有者がいることでいろいろなトラブルが起こる可能性もあります。

もし持分割合を手放したい場合は、自身の持分割合のみを売却するのも1つの手。持分割合だけであれば単独で行えます。共有者に売却すれば自身は持分を手放せますし、買った共有者は持分が増えます。しかし、資金のやりとりやその後の税金などの兼ね合いで断られる可能性も否定できません。売却するのが難しいと感じたら、専門の業者に依頼してみることをおすすめします。

共有持分の割合で納得いっていない方、専門家にご相談ください

不動産を共有名義で購入したり相続したりしたのは良いものの、その後共有者との決別や税金などの支払いで不動産を手放したくなったという方もいるのではないでしょうか。不動産自体の売却には共有者全員の承諾が必要ですが、持分のみの売却であれば自身の決断で可能。ただし、持分のみの売却は、1つの不動産の所有権を複数の人間が持っているという理由もあり、買い手を探すのは非常に難しいのが現状です。

そんなときは、プロの専門家に依頼するのが一番の近道。中央プロパティーでは、持分売買の仲介を専門に行っており、その道のプロが多数在籍しています。売買の意思がある方には不動産鑑定士が無料で価格の査定も行っておりますので、持分の売却でお困りの方はぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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