共有持分の売却相場とは?
共有持分の売却相場とは?
目次
ひとつの不動産を複数の人が共同所有しているとき、各自の所有権を「共有持分」と言います。民法により「共有の不動産は、売ったり、貸したり、リフォームしたりする際に、他の共有者の同意が必要である」と定められているため、手放したいと感じていても対象の不動産を勝手に売却することができません。
但し、自分の共有持分だけであれば、第三者に売却することなら可能です。しかし、共有持分の売買事例は少ないため、本当に買ってくれる人がいるのか、どれくらいで売れるのかなど想像ができないことも多いのではないでしょうか。
ここでは、共有持分を売却するときの相場や査定のポイント、どんな人が購入するのか、共有持分を高く売却する方法などについて解説します。
関連記事:共有持分売却の完全ガイド|売却戦略から具体的な方法まで解説
共有持分の売却相場ってどのくらい?
自分が所有している共有持分の市場価格はどのようにして算出するのでしょうか。
共有持分の市場価格を算出する際は、その物件全体の市場価格に持分の割合を掛けます。例えば、市場価値が4,000万円の住宅で持分割合が1/2の場合、2,000万円が共有持分の市場価格です。
しかし、ネットで共有持分の売却相場を検索してみると、概ね「市場価格の1/2~1/3ほどである」と書かれています。もちろん物件によって市場の価値は異なるため、それ以上で売れることもあれば、それ以下でしか売れないこともあるでしょう。実際の不動産業界で流通している金額を見てみると、相場と言われている1/2~1/3減の価格よりも高く売買されているケースが少なくありませんが、市場価格で売却できることは稀です。
共有持分は市場価格よりも安くなってしまうことが多いのはなぜでしょうか。
共有持分の売却相場が安くなる理由
共有持分の場合、例えばリフォームをしようとしても他の共有者の同意がないと何もできないため、購入する人にとっても同じリスクが生じます。購入したとしても自由に活用できず、他の共有者の合意を得なければいけない事実は変わりません。このようにハイリスクな物件を、自分が住むためにわざわざ好んで買う人はいないでしょう。
ましてや、共有持分は他の共有者とのトラブルが多いため、共有者との間でトラブルが生じている物件は、さらに欲しがる人が少なくなってしまうでしょう。
そのため、自分の共有持分だけを売却しようとしても、実際には市場であまり価値がないと判断されるケースが多いのは当然のことです。つまり「共有持分は活用に制限があり、また共有持分を欲しがるニーズも少ないため市場価格より安い相場となるなる」のです。
では、誰が共有持分を買うの?
では、どのような人が共有持分を購入するのでしょうか。共有持分を購入する人は、以下の3つのケースに分かれます。
他の共有者
同じ不動産を所持している他の共有者が購入するケースが考えられます。例えば2人で共同所有しているとき、他の共有者の共有持分を買い取りすることで単独所有が可能です。
不動産の買取業者
共有持分を専門に買い取りしている不動産買取業者です。ただし、悪質な不動産ブローカーだった場合、他の共有者から強引に買い取ろうとする可能性も考えられるので注意しなければなりません。
不動産投資家
国内外の投資家や投資機関が、不動産投資として購入するケースです。他の共有者に対して「賃料」という形で金銭を要求することにより利益を得ることが可能。詳しくは次項でご説明します。
投資家は購入後どうするの?
投資家は、投資のためにその共有持分を購入しているので、利益を得るため権利を行使します。2つのケースがあり、ひとつは、他の共有者と交渉をして不動産全体を買い取りし、付加価値を付けて転売するといったケース。もうひとつはその物件から長期的に賃料収入を得るケースです。
例えば、共有不動産が賃貸物件だった場合、共有持分が1/2ならば投資家は賃料の1/2を請求できます。また、他の共有者がその物件に住んでいる場合でも同様。他の共有者に対して自分の持分に応じた賃料を請求することが可能です。
家族や親戚との共有不動産の場合、その他の共有者が対象の物件に住んでいたとしても「賃料を払え」といったやり取りが出てくることは少ないでしょう。しかし、投資家は他人なので、権利として賃料を請求してきます。このように、賃料を支払ってもらうことで、投資家たちは利回りを得ているのです。
ネットで見かける相場の1/2~1/3というのは本当?
共有持分が売却できること、そしてどのような人が共有持分を購入してくれるのかという点についてご理解いただけたところで、ではいざ売却するという段階になったとき、ネットで見かけるように相場の1/2~1/3の価格でしか売れないのでしょうか。
まず、「共有持分は価値が低い」と書いているサイトは、誰が作ったものなのかを確認してみてください。安く買って高く売るようなビジネスを行う不動産の買取業者が作ったサイトであるケースが多いかもしれません。
彼らのビジネスモデルは「できるだけ安く仕入れ、それを高く売ること」で利益を得ているのです。ですから最初に「一般的な市場価値の1/2~1/3になる」と言っておけば、1/2よりも少し高い額を提示さえすれば、売却相場よりも高く買い取れると言えるわけです。
また、「共有持分を専門に買い取りしている業者だから、高く買い取れます」といった口説き文句も同様です。買取業者が買い取った不動産を、より高く売ることで利益を出すスタイルである以上、売却主に支払った金額よりも高く売ることができる見込みがあるのです。そのため、買取業者に査定額を提示されたら、実際の市場ではその金額よりも高値で取引されているのだと考えた方が良いでしょう。
不動産の価値はどう決まる?~共有持分の査定ポイント~
不動産価値は、何を基準に評価されるのでしょうか。
不動産業者が、共有持分の売却査定を行う際に重視するポイントを解説します。
1.物件の所在地
不動産価値を評価する際に最も重要となるポイントは、当該物件の所在地です。
同じ面積、グレードの物件でも、人口数の多い都心と過疎化が進む地方では、当然ですが物件の評価額が大きく変わってきます。
また、地震や台風発生時の安全対策や近隣に火葬場や刑務所等の嫌悪施設がある場合などは、評価にマイナスな影響を及ぼします。
逆に今後開発が見込まれるなど、将来性のあるエリアは評価が高くなります。
ざっくりしたエリアなど、簡易的な情報で査定してもらえる不動産会社もありますが、査定額は近隣の状況に大きく左右されるため、住所は番地まで伝えることをおすすめします。
2.交通アクセス
所在地に加えて、アクセスの良さも重要な査定ポイントの一つです。
都心の場合は、公共交通機関の利用がメインのため、最寄駅からの距離が評価されます。
一方、車社会の地方の場合は、駅からの距離が評価に影響しない場合もあります。
3.物件の情報
戸建て、マンションに共通する評価ポイントは、下記の通りです。
- 築年数・・・築年数が浅いほど高額査定が見込めます
- 構造・・・木造よりも耐用年数の長い鉄筋コンクリート造の方が高額査定が見込めます
- 面積・・・基本的には面積が広いほど高額査定が見込めます
- 間取り・・・面積と並行して、使いやすい間取りかどうかも重要な査定ポイントになります
マンションの場合は、上記に加えて部屋の階数や方角が評価に影響します。
4.持分の割合
共有持分の売却査定には、持分(所有権)の割合が必要です。
相続の場合、持分割合は法定相続分に従い決まります。
夫婦で資金を出し合って不動産を購入した場合は、資金の負担割合に応じて共有持分の割合を決めるのが原則です。
自分の持分割合が不明な場合は、「登記事項証明書」にて確認することができます。
「登記事項証明書」は、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取ることができます。また、オンラインで交付申請をおこない、郵送で受け取ることも可能です。
参考:登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です(法務局)
不動産の価値はどう決まる?~査定方法の種類~
共有持分を高額で売却するには、自身の保有する不動産の相場を知ることと不動産会社をいくつか比較することが大切です。
自身の保有する不動産の相場を知り適切な価格で売却するには、依頼する不動産会社がどのような査定方法を採用しているかも重要なポイントになります。
1.机上査定
机上査定は、最低限の物件情報をもとに簡易的に査定額を算出する査定方法です。
不動産会社は、土地や物件の相場をある程度把握しているため、過去の取引事例や一般的な相場価格を参考に概算の売却査定額を出すことができます。
但し、上記で解説した通り査定に影響するポイントは複数あり、それらが複合的に絡み合い査定額が決まるため、一不動産会社の経験値や事例に基づく机上査定は正確性に欠け、あまり参考になりません。
2.不動産鑑定士査定
不動産鑑定士査定は、不動産査定の専門家である「不動産鑑定士」が実際に現地に訪問し、より詳細な情報をもとに査定額を算出する査定方法です。
不動産鑑定士が作成する「鑑定評価書」は、国が定める基準に則って作成されるため、算出根拠が明確で正確性が高いです。
但し、不動産鑑定士への依頼には費用がかかる点は注意が必要です。
3.AI査定
AI査定は、AIつまり人工知能が膨大なデータに基づき査定額を算出する査定方法です。
AIが持つ過去の類似物件の取引情報等のデータベースをもとに、短時間で精度の高い査定額を算出することが可能です。
共有持分を高く売却する方法ってあるの?
様々なデメリットを抱える共有持分ですが、実は高く売却する方法はあります。そのひとつが、世界中から買い手を探すことができる専門のオークションに出品する方法です。
日本の不動産は世界的に見れば資産として安定しており、かつ市場価値や利回りが高いため、不動産の共有持分だとしても世界の不動産投資家や投資機関にとって、安全に利回りを得るために非常に有効な手段なのです。ですから共有持分を高く売却するには、活用方法を知っている世界の不動産会社や投資家、投資機関が集まる専門のマーケットに共有持分を出品し、一番高値を付けてくれた人に売るというのがベストだと言えるでしょう。
しかし、残念ながらこの方法では個人が出品して高値を付けてくれる買い手を探すことはできません。投資家や不動産会社のネットワークを持っているような企業でないと叶わない売却方法だからです。
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この記事の監修者
不動産鑑定士
不動産鑑定士。株式会社大村不動産鑑定事務所代表。不動産鑑定評価業務をはじめ、価格査定、意見書作成など不動産の価格に関するスペシャリスト。業者によって査定額に大きな差が生じやすい共有持分の不動産鑑定において市場動向を考慮した査定には定評がある。