\ 無料相談・査定をする /

相続回復請求権とは|弁護士Q&A

更新日:
作成日:

相続回復請求権とは

関連記事:相続登記の義務化|共有持分を相続した場合の申請期限はいつまで?

相続回復請求権とは

相続回復請求権とは、相続権を侵害されている本来の相続人が、相続権がないにもかかわらず相続権を主張して相続財産を占有する者に対して、その相続財産の自己への回復を求める権利のことです。

相続回復請求のわかりやすい具体例

例えば、Aさんが亡くなり子Bが実家に行ったところ、Aの子だというCが実家を占有しているような場合、BがCに対し出ていけ!ということが相続回復請求権の具体例です。

相続回復請求権を行使する相手

主に以下の人を相手方として、相続回復請求権を行使します。

  • 表見相続人
  • 共同相続人

表見相続人とは

表見相続人とは、相続権がないにも関わらず、相続財産を占有したり処分したりする人のことを指します。

また、戸籍上は相続人としての外観が整っているが、相続廃除・相続欠格等によって相続権を失っている者も該当します。

例:実は亡き父の子ではあるが、遺言書を改ざんしたり、他の相続人を殺害しているような場合です。

他にも以下のような人が該当します。

  • 相続欠格者
  • 相続廃除された者
  • 親子でないのに出生届を出された者
  • 婚姻が無効になった配偶者
  • 養子縁組が無効になった養子
  • その他の第三者

共同相続人とは

例えば、兄弟で遺産を相続したとき、長男がすべての遺産を占有している場合、弟は長男に対して、相続回復請求権を主張できる可能性があります。

その判例を次の章で紹介します。

相続回復請求権の行使が認められた判例

共同相続人であったとしても、被相続人の遺産のうち、本来の相続分以上を自分の持分であると主張し、占有しているケースでは相続回復請求権の行使が認められます。

♦参考判例:最高裁昭和53年12月20日判決

判旨:「共同相続人のうちの一人又は数人が、相続財産のうち自己の本来の相続持分をこえる部分について、当該部分の表見相続人として当該部分の真正共同相続人の相続権を否定し、その部分もまた自己の相続持分であると主張してこれを占有管理し、真正共同相続人の相続権を侵害している場合につき、民法八八四条の規定の適用をとくに否定すべき理由はない」

相続回復請求権の時効

相続回復請求権は、通常「相続権の侵害を知ってから5年以内」に請求しなければなりません。

但し、相続権の侵害を知らなかった場合でも「相続発生から20年」が経過すると権利が消滅するので注意しましょう。

相続回復請求権を行使できるのは侵害している者が善意・無過失の場合です。

悪意・有過失によって、相続権を侵害した者は、相続回復請求制度の相手方対象にはなり得ません。

通常、遺産を占有している共同相続人は、他の相続人の相続権を侵害していることを認識しているはずです。その場合は、遺産分割協議によって解決することになります。

遺産分割協議には、時効がないため、遺産を侵害されたことを知ってから5年を過ぎても遺産を取り戻せる可能性があります。

この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で共有物分割や遺留分侵害額請求など相続で発生しがちな不動産のトラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

この記事のタグ

おすすめの記事はこちら