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【弁護士Q&A】固定資産税を代わりに払っていた場合、売却時不利になりますか?

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【弁護士Q&A】固定資産税を代わりに払っていた場合、売却時不利になりますか?

【解説】共有持分の固定資産税は代表者がまとめて納めます【節税】

姉と共有名義で家を持っています。毎年代表者の姉の元に、固定資産税の請求書が届くのですが私が全額払っている状況です。 この支払いは私が支払っていても請求書が姉宛てになっているので、姉が払っていると役所では判断されてしまいますか?いざ家を売却するとなった場合も姉が「固定資産税を払っていた」と主張したら、私の方が不利になってしまうでしょうか?心配です。

不動産が複数人の共有の状態にあるとき、各共有者は、当該不動産に対する共有持分を有しています。
共有持分を有するということは、各共有者が、共有物を利用する権利を有することと同時に、共有物を管理する義務を負担することを意味します。通常、共有不動産の管理に関して、共有者の負担・分担が最も問題になる場面は、固定資産税の支払いです。
この点について、地方税法10条の2第1項は、『共有物・・・に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負う。』と定めています。『連帯して』とは、共有者の全員が、全額について納付義務を負うという意味であり、持分割合に応じて分割した範囲で納付義務を負う=持分の割合で按分した範囲で納付すれば義務を免れる訳ではありません。
行政からの固定資産税の納付書は、共有不動産に関しては、代表者宛(より正確には(代表者名)外〇名宛)の形で届きますが、これは代表者1名にだけ納付義務を課す趣旨のものではありません。
上述のとおり、持分割合で案分された納付義務が生じるわけではないため、持分割合に応じた各共有者への個別の納付通知というものが作れないため、代表者宛に全額の納付通知を送るという運用が取られているものです。宛先の代表者が全額を納める前提で通知しているものではないので、行政の立場からは、実際の納付者が共有者のうち誰なのかは問題としません。逆に言うと、代表者宛の納付書で納付しても、それ自体は、代表者自身が納付したことの証明にはなりません。
さて、仮に、通知を受け取った代表者の方が、固定資産税の全額を納付した場合、一切お金を出していない他の共有者の納付義務も消滅します。しかし、そのままでは共有者間に不公平が生じます。特段の合意のない限り、あくまで、共有者相互の間では、共有者としての義務は、持分割合に応じて平等に負担するべきものであるからです。
よって、固定資産税全額を納付した共有者は、他の共有者に対して、持分割合に応じた負担額の求償を請求することが出来ます。今回のケースですと、あなたが支払った固定資産税の2分の1をお姉様に請求することになります。
勿論、請求の際は、あなたが支払ったエビデンスを示す必要があります。

まとめ

  • 固定資産税については、共有者全員が、全額の納付義務を負います。
  • 固定資産税を全額支払った共有者は、他の共有者への求償が可能です。
  • 求償するために、固定資産税を立て替えているエビデンスを残しておく必要があります。

参考記事:共有持分の評価額を知りたい!評価基準と算出方法を解説

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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