【弁護士Q&A】弟に登記費用を請求することは可能でしょうか?
【弁護士Q&A】弟に登記費用を請求することは可能でしょうか?
相続が発生し、弟と土地をそれぞれ1/2で所有することになりました。登記に係る司法書士の手数料を私が支払ったのですが、弟に代金の半額を請求することは可能でしょうか? もし弟が支払いを拒否した場合、法的な措置で強制徴収できますか?弟にこの前、お金の話をした際に、話をはぐらかされたので、支払う気がないのではないかと考えています。
相続登記を司法書士に依頼した際の司法書士費用に関して、誰が支払うべきか、あるいは、どういう割合で負担・分担するべきか、という点について、法律上の定めはありません。一般的には、相続登記の費用は、申請者となる相続人が負担することが多いかと思われますが、相続人が複数の場合であっても、全ての相続人が司法書士費用を負担しなければならない、という決まりはありません。相続人のうち誰がいくらを負担するかは、あくまで、相続人間の話し合いで決められる問題です。法定相続分割合に応じてお金を出し合う、頭割りでお金を出し合う、一旦相続人の代表者が全額を支払った上で他の共有者に精算して貰う等、決め方には様々なバリエーションが考えられます。但し、支払いの意思がなく合意出来ない相続人がいた場合、その相続人を相手に、司法書士費用の支払いを強制することは出来ません。
この問題を、相続登記の依頼を受ける司法書士側から見ても、司法書士費用の支払者や支払方法等の条件は、委任契約書の中で予め明記するべきものですが、支払意思のない相続人に支払義務を負わせる内容の契約を勝手に結ぶことは出来ません。
今回の場合、弟さんには司法書士費用を負担する法的な義務はありませんので、法的措置による請求は困難かと思われます。
但し、例えば、あなたと弟さんが司法書士と委任契約書を結んだ後になって、弟さんが支払うことになっていた費用に関して、弟さんが司法書士への支払を履行しない意思を示したので、あなたが代わりに司法書士に支払ったという場合は、分担の合意があった上での立替払いですので、立替分の求償を請求することが出来ます。
いずれにせよ、相続登記申請については、司法書士に依頼をする前に、相続人全員が納得できる形で結論が出せるように、相続人間で十分に協議をすることが大切です。
まとめ
- 相続登記の司法書士費用を誰が負担すべきかについて、法律上の定めはなく、相続人間の話し合いで決めることになります。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で共有物分割や遺留分侵害額請求など相続で発生しがちな不動産のトラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。