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裁判上の自白とは

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裁判上の自白とは

裁判上の自白のイメージ

意義:口頭弁論期日または争点整理手続期日における、相手方の主張した自己にとって不利な事実を認める陳述を指す

裁判上の自白とは、単に事実を認める場合ではなく、「自己にとって不利益な事実」を認めなければなりません。「自己にとって不利益な事実」とは何を指すのでしょうか。

結論から言いますと、「主要事実」の自白でなければなりません。わかりやすく、例を挙げて解説します。例えばA(債権者)がB(債務者)に100万円の貸金返還請求権の民事訴訟を提起したとします。主要事実とは、権利の発生・変更・消滅を直接推認する事実です。

ここで、Bが確かに「Aから100万円お金を借りた」と認めた場合、この事実はAのBに対する貸金返還請求権の発生を直接推認する事実と言えるため、自白が成立します。一方、Bが「最近羽振りが良くなった」という場合、確かに金銭的余裕ができたということは推測できますが、AのBに対する貸金返還請求権を「直接」推認する事実ではありません。

このような場合は、自白は成立しません。自白が主要事実に限られているのは、自由心証主義という裁判官が自由な心証に基づいて裁判を遂行する原則があるためです。自白が成立すると裁判官はその事実に拘束されてしまいます(詳細後述)。あまりに裁判官が事実に拘束されてしまうと適切な裁判をすることができないため、自白の成立の範囲を制限しているのです。

裁判上の自白の効果

(証明することを要しない事実)
民事訴訟法179条:「裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。」

裁判上の自白が認められると、証明することを要しません。そして、裁判所は自白が成立した事実を判決の基礎にしなければならないという拘束(義務)が働き、この義務に反すると法律違反として、上訴の理由にできます。

なお、「顕著な事実」とは、「公知の事実」と「裁判所が職務上知り得た事実」を言います。公知の事実は歴史的事件や大災害などの通常の知識経験をもった一般人が疑わない程度に知れ渡っている事実のことを言い、裁判所に職務上知り得た事実とは裁判所が職務を行うにあたって知った事実で客観的に明白な事実のことを言います。

この記事の監修者

岡田 卓巳オカダ タクミ

弁護士

弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。不動産の共有関係解消など相続と不動産分野の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。

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