【弁護士Q&A】共有持分の分筆について相談です
【弁護士Q&A】共有持分の分筆について相談です
弟と共有名義の土地が300坪ほどあります。
その土地に、弟の住まいと、今は空き家の実家の2つの家が建っています。
この度、弟の住まいの分の土地150坪を売却することになりました。
売却後は、弟は実家のほうに住む予定です。
今回の売却分は弟、残りの半分の土地を私単独名義に変更することは可能なのでしょうか。
不動産登記簿上、1つの土地の単位を『筆』と呼びます。そして、1筆の土地を2筆以上の複数の土地に分割することを『分筆』と呼びます。共有になっている土地についても、共有者全員の合意があれば、分筆を行なうことが可能です(民法251条1項)。そして、分筆後の土地を、各人が単独で所有する状態にすることが出来ます。
但し、実際に土地の分筆を行なうに当たっては、法務局に分筆の登記申請を行なうだけでは足りません。以下に述べる通り、登記申請に至るまでに、様々な作業が必要です。
一般的な分筆の流れは、以下の通りとなります。
- (1)土地家屋調査士への相談・依頼
- (2)法務局等での調査(不動産登記簿謄本の取得の他、公図や地積測量図、確定測量図等の調査・確認が行われます)
- (3)現地調査・現地立会い(役所や隣地所有者との間で土地の筆界・境界の確認を行います)
- (4)境界確定測量(境界が明らかでない場合に実施し、境界確認書を作成します)
- (5)分筆案の作成
- (6)境界標の設置
- (7)分筆登記書類の作成・申請
この間にかかる期間や費用は、隣地との境界が確定出来ているか否かで大きく変わってきます。
分筆にかかる費用を誰がいくらずつ負担するかについては、共有者間で話し合って決めることになります。あくまでケースバイケースですが、境界確定作業まで含めて依頼するような場合は、土地家屋調査士の費用が高額になることが予想されますので、後々トラブルにならないよう、お互いに納得できる話し合いが必要です。
また、分筆登記及び分筆後の土地の売却後、弟様はご相談者様名義の土地上の家屋に住む立場になりますので、借地契約の条件についても、予め話し合っておくのが宜しいかと思います。
まとめ
- 共有者全員の合意があれば、土地の分筆を行なうことが出来ます。
- 分筆登記の申請の前に、境界確認等の作業を土地家屋調査士に依頼することになります。
この記事の監修者
社内弁護士
当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。