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【弁護士Q&A】離婚時の共有持分について相談です|弁護士Q&A

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【弁護士Q&A】離婚時の共有持分について相談です

離婚する夫婦の共有持分の自宅について質問です。現在、それぞれ住宅ローンの残金およそ2,500万円ずつあります。自宅は今後私が子供と住むことが決まっていますが、夫が持ち分をローン完済後に勝手に処分されないか心配です。
また、夫が再婚した場合、相続権を再婚相手に渡したくありません。相続は私の子供2人にだけさせたいと思っています。10年連れ添った私を裏切り、不貞のために別れる夫が少しでも利益を得るのは腹が立ちます。別れる際の条件として、自宅の相続は私の子供だけという内容で念書を締結させようと考えています。相続を限定させる念書は法律的に有効なのでしょうか?また、夫婦で共有の不動産を持っている人が、離婚する際に気をつけた方が良いことを教えてください。

お話に出てくる念書が、遺産のうち不動産の共有持分をお子様に相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)の趣旨だと解釈できたとしても、遺言者であるご主人は、いつでも自由に遺言を撤回することができます(民法1022条)。また、そのような遺言をした上で、遺言と抵触する不動産持分を処分した場合も、遺言は撤回されたものとみなされます(民法1023条2項)。したがって、お考えの念書の作成は、ご主人が作成に同意したとしても、不動産の所有権問題の抜本的な解決にはなりません。
他方、ご懸念のとおり、離婚後も共有の状態を続けた場合、ご主人が共有持分を第三者に処分してしまうリスクや、相続が発生したときの相続関係が複雑化するリスク等がついて回ることになります。また、仮に、今後、ご相談者様が売却をしたいと考えた際も、ご主人が協力しないと、不動産全体での売却が困難となる恐れもあります。
以上を踏まえると、離婚に当たっては、同時に、不動産の共有関係を解消する形で処理するのが望ましいと言えます。
共有関係の解消ですが、現物での分割は困難ですので、(1)一方が他方の持分を取得するか、(2)共同で売却して代金を分配するか、のいずれかになりますが、ご相談者様として引き続き居住を望むということであれば、(1)の方法での解決を目指すべきかと思います。取得方法としては、売買の他、離婚に伴う財産分与として譲渡を受けることが考えられます(本件の場合は、離婚原因がご主人の不貞行為にあるとのことであれば、慰謝料的財産分与の性格を帯びることになります)。
但し、ローン完済前の名義変更がローン会社との契約違反にならないか等、ローン会社への確認・協議が必要となる部分がありますので、ご注意ください。

まとめ

  • 遺言はいつでも自由に撤回出来るものなので、抜本的な解決にはなりません。
  • 離婚に当たっては、不動産の共有関係の解消を行うのが望ましいです。

この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で共有物分割や遺留分侵害額請求など相続で発生しがちな不動産のトラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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