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共有名義不動産は売却できない⁉反対する共有者が居ても自己持分のみなら売却可能!|共有持分の売却・買取

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共有名義不動産は売却できない⁉反対する共有者が居ても自己持分のみなら売却可能!

共有名義不動産全体を売却する場合、すべての共有者の同意が必要です。そのため、売却に反対する共有者がいる場合、物件全体の売却は困難です。

しかし、自己持分だけを売却する場合、共有者の同意は不要です。

この記事では、共有名義不動産の売却に反対する共有者がいる場合の対処法について解説します。

<この記事でわかること> 

  • 共有名義不動産と共有者の同意の関係性
  • 売却に反対する共有者がいる場合の対処法
  • 同意を得ずに売却する方法

関連記事:共有持分売却の完全ガイド|売却戦略から具体的な方法まで解説

 1. 共有名義不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要

共有名義不動産の全体売却には、共有者全員の同意が必要です。一人でも反対する人がいる場合は売却できません。

1-1. 共有名義不動産とは、所有者が複数人居る不動産のこと

共有名義不動産とは、1つの不動産に対し、複数の所有権者が存在する不動産を指します。例えば、親の相続で実家を兄弟3人で相続した場合や夫婦共有名義で、不動産を購入した場合などが該当します。

1-2.共有名義不動産が売却できないと言われる理由

共有名義不動産には、以下の通り3つの管理ルールが存在します。

行為の種類具体例同意の必要性
変更(処分)行為全体売却・長期間の賃貸共有者全員の同意が必要
管理行為リフォーム持分価格の過半数の同意が必要
保存行為定期清掃同意なしでOK

本記事で取り上げる、共有名義不動産全体の売却には、共有者全員の同意が必要である旨、民法で定められているため、売却に反対する共有者が一人でもいる場合、売却ができないのです。

2~3人ならまだしも、共有者が相続によって増え続け10人以上になっている場合は、面識のない人と共有状態になっていたり、共有者の連絡先すらわからない、というケースも珍しくありません。

1-3.共有持分のみの売却なら、他の共有者の同意は不要

共有持分とは、共有名義不動産を所有している共有者各自の所有権割合を指します。

共有名義不動産全体の売却が難しい場合は、共有持分のみの売却を検討しましょう。

自己持分のみの売却であれば、他の共有者の同意や承諾は不要です。

共有持分のみを売却することで、売却益(現金)を取得でき、共有関係を解消することができます。

2. 共有持分の売却を検討すべきケース

では、どのような場合に共有持分の売却を検討すべきでしょうか。

主なケースとして次のようなものが挙げられます。

  • 不動産を活用する予定がない
  • 共有者間でトラブルになっている
  • 自分の権利を活かすことができない

当てはまる方は、共有持分の売却を検討しましょう。

2-1 不動産を活用する予定がない 

例えば実家を相続した場合、自分は離れた地域に住んでいることがあります。すでに持ち家があると、相続した実家は将来的にも使う予定がないかもしれません。

このようなときも、固定資産税等の税金や修繕にかかった費用は、持分割合に応じて共有者全員で負担する義務があります。

不動産を活用していないのに費用だけ負担し続けていることに、不満を感じている方は、持分のみを売却して、共有状態を解消することを検討しましょう。

2-2 共有者間でトラブルになっている

共有者間でトラブルになっているケースや、そもそも他の共有者と面識がないようなケースでは、早めに共有状態を解消したほうが良いでしょう。

例えば、共有者3人で不動産を所有している場合で考えてみましょう。

Aは売却したい、Bはリフォームしてそのまま自分が住みたい、Cは取り壊しをして新たに賃貸アパートを建てて運用したいという意向がある場合、話し合いは平行線です。

当事者同士での話し合いが難航する場合、弁護士を入れて落としどころを見つけていく必要があります。そうなると、弁護士費用や時間、労力がかかってしまい、金銭的にも精神的にも大きな負担となってしまいます。

トラブルから解放されたい場合は、自己持分を売却し、共有関係を解消するにも一つの手です。

2-3 共有者が不動産に住んでいる場合

共有名義不動産では、共有者のうち誰か一人が不動産を占拠しているケースがよくあります。

例えば実家を兄弟で相続し、長男が実家に住んでいるケースなどです。

共有者のうち誰かが不動産を占拠している場合、本来であれば持分割合に応じて家賃相当額の分配を請求することができます。

しかし親族間では家賃分配の交渉をしにくいというのが実際問題です。

自分が住む想定はなく持分割合も少ない場合などは、煩わしい家賃分配の交渉をするよりも自分の持分を売却して売却益を得た方が、自分の権利を活かした賢明な判断となる場合もあります。

3. 全体売却に反対する共有者がいる場合の対処法

共有名義不動産全体の売却に反対する共有者がいる場合は、次のような方法で対処できます。

  • 共有者間で持分を売買する
  • 第三者に持分を売却する
  • 土地を分筆して単独名義にして売却する

詳しく解説していきます。

3-1  共有者に持分の買取をお願いする

共有持分は、共有者間で売買することができます。

共有名義不動産全体の売却に反対する共有者は、共有名義不動産を手放したくないと考えているわけですから、持分を買い取ってもらえないか交渉してみましょう。

例えば兄弟で相続した実家を、兄は売却したくない、弟は売却したいと意見が対立しているなら、弟は兄に持分を買い取ってもらえないか提案します。

兄に資金があり持分を買い取ることができれば、兄は実家を守ること、弟は持分を売却することができ、お互いにメリットがある結果となります。兄の単独名義の不動産となるので共有名義も解消されます。

ただし、持分売買の交渉をする際にはトラブルにならないよう気をつけなければいけません。

後述する「共有名義のまま不動産を所有し続けるリスク」を相手に伝えることで、説得しやすくなります。

3-2  第三者に持分を売却する

共有者間での売買交渉が難しい場合、第三者に持分を売却することを検討しましょう。

第三者へ売却する際は、共有持分を専門に取り扱う不動産会社へ相談しましょう。共有持分の売却は、他の共有者との権利調整や不動産に関する高い専門知識が必要になります。

街中にある一般的な不動産会社では、中々取り扱って貰えないことが多いです。

弁護士と連携しながら、安心安全に持分の売却をサポートしてくれる不動産会社を選びましょう。

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3-3  土地を分筆して単独名義にして売却する

共有名義不動産が土地の場合は、分筆という現物分割をしてから売却する方法があります。

分筆とは、ひとつの土地を複数に分けて登記する手続きのことです。

例えばA・B・Cが3分の1ずつ所有する共有名義の土地90坪を、持分に応じて分筆したとします。そうすることで、土地30坪ずつが、A・B・Cの単独名義(完全所有権)になります。

※注:分筆後にそれぞれの単独名義へ登記申請する必要があります。

ただし、土地を分筆するには共有者全員の同意を得なければいけません。売却に反対されているのだから分筆も反対されるのでは?と考えるかもしれませんが、一概にそうとは限りません。

共有名義の土地全体の売却では土地を手放すことになるので反対だが、分筆であれば自分の土地を守れるので賛成するというケースもあります。

共有者に提案してみるとよいでしょう。

3-4. 共有物分割請求訴訟を起こす

共有物分割請求訴訟とは、当事者同士での話し合いが難しい場合、裁判所に共有名義不動産の分割方法を委ねる訴訟のことです。

裁判所が下す分割方法は、以下の3つです。

  1. 現物分割
  2. 代償分割
  3. 換価分割(競売)

案件の状況に応じて、最適な分割方法を裁判所が判断します。共有物分割請求訴訟のメリットは、訴訟を起こせば必ず分割できる点です。

但し、分割方法は自分が希望する通りにならない可能性もあることに留意しておきましょう。

4.共有名義のまま不動産を所有し続けるリスク

共有名義のまま不動産を所有し続けると、トラブルになりやすいと言われています。どのようなトラブルやリスクがあるのかが気になるのではないでしょうか。

主に、次のようなリスクが考えられます。

  • 共有者である限り税金や修繕費用の負担が発生する
  • 相続の発生により、共有者が永遠に増え続ける
  • 活用をめぐって共有者間でトラブルになりやすい

4-1 共有者である限り税金や修繕費用の負担が発生する

不動産を所有する人は、固定資産税を納めなければいけません。共有名義不動産の場合は、持分割合に応じて負担するよう民法で定められています。

各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。

 民法第253条第1項

さらに、共有名義不動産の固定資産税は連帯納付とも定められているため(地方税法第10条の2第1項)、支払わない共有者がいれば立替えて固定資産税を納めなければいけません。

仮に、そこには誰も住んでいないとしても、共有名義不動産を所有する限り払い続ける必要があるため大きな負担となります。

また、固定資産税と同様に、物件にかかる修繕費用も、持分割合に応じて共有者全員で負担が必要です。

仮に、共有者の一人が修繕費などを全額払っているので自分は払ったことがないという場合も油断できません。

費用を立替えた人は「求償権(肩代わりした金銭の返還を求める権利)」に基づき、過去10年間まで遡った費用を他の共有者に請求できます。

先述の固定資産税も共有者のうちの一人が立替えているなら、求償権を行使できるため今までの費用をいきなり請求されるという可能性もあります

4-2 相続の発生により、共有者が永遠に増え続ける

共有名義不動産は、共有者に相続が発生する度に共有者が増え続けます。共有者の一人が亡くなるとその人の共有持分は相続されますが、相続人が一人とは限りません。

複数の相続人へ受け継がれるたびに共有者が増え続け、権利関係が複雑になってしまいます。

共有者が20人以上というケースも珍しくなく、お互いの顔や名前も分からないため不動産全体を売却しようにも連絡が取れないということが起こります。

つまり共有者が増え続けるということは、自分の子どもや孫が自分亡き後にトラブルに巻き込まれる可能性があるということなのです。

4-3 共有者間でトラブルになりやすい

前述したように、共有名義不動産を所有していると固定資産税や修繕費などが発生します。

固定資産税を払わない共有者がいれば立替えて納めなければいけませんし、住んでもいないのに持分割合に応じた修繕費の請求をされることもあります。

固定資産税を立替えたくないという思いから誰も払わなければ、延滞金が発生するだけでなく共有者全員の財産が差し押さえ対象となります。

また、管理や活用にも次のような制限があります。

行為内容具体例行為の制限
保存行為共有物の現状を維持する行為①共有物の修理
②不法占拠者への明渡請求
各共有者が一人で対応可能
管理行為共有物を利用する行為共有物を貸すこと共有者の持分価格の過半数で決定
変更行為(軽微な変更)形状または効用の著しい変更をともなわない行為①外壁や屋根の修繕
②砂利道のアスファルト塗装
③植樹伐採
共有者の持分価格の過半数で決定
変更行為(軽微な変更以外)共有物の形もしくは性質に変更を加える行為①共有物の売却
②別荘の増改築
共有者の全員の同意が必要

共有名義不動産の場合は、不動産の活用や管理をめぐって、共有者間で意見がまとまらず、相続トラブルに発展するケースも珍しくありません。

まとめ

共有名義不動産の売却には共有者全員の同意が必要なため、反対する共有者がいる場合には売却できません。

しかし、共有持分のみであれば他共有者の同意なく売却可能です。不動産を活用する予定がない場合や、共有者間でトラブルになっている場合などは、共有持分の売却を検討しましょう。

当社は共有持分を専門に取り扱う不動産会社で、共有者間のトラブル解消から持分の売却までトータル的なサポートが可能です。社内弁護士が常駐しているため、法的根拠を持って安心感のある対応ができます。

共有持分を売却したい、共有者間のトラブルが怖いという方は、中央プロパティーへ一度ご相談ください。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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