連帯保証人と保証人の違いとは
連帯保証人と保証人の違いとは
連帯保証人と保証人の違い
連帯保証人とは、主債務者が借りた借金の返済について主債務者とともに返済する責任を負う人のことです。
一方、保証人とは、債務者が債務を履行しなかった場合に、債務者に代わって債務を履行する義務を負う人のことです。
連帯保証人も保証人も、保証契約によって、「保証債務」の責任を負います。
保証債務とは、主債務者がお金を返さない場合に、代わりにお金を返す義務のことです。(民法第446条)
連帯保証人と保証人の違いは、責任の重さです。
連帯保証人は一緒にお金を借りているのとほとんど同義で、保証人はお金を借りた人が返済できなかったときのみ返済する責任を負います。
本記事では、4つの視点で連帯保証人と保証人の違いを解説します。
- 催告の抗弁権
- 検索の抗弁権
- 分別の利益
- 債務者が自己破産した場合の扱い
① 催告の抗弁権
催告の抗弁権とは、保証人が債権者から債務の履行を請求された際、先に債務者に対して返済するように請求できる権利です。(民法第452条)
保証人は、この催告の抗弁権を有しています。
連帯保証人は、催告の抗弁権を有していませんので、主債務者に代わってお金を返さなければならない義務があります。
② 検索の抗弁権
検索の抗弁権とは、保証人が債権者から債務の履行請求をされた際、主債務者に弁済資力があることを証明して、その履行請求を拒否できる権利です。
保証人は、この検索の抗弁権を有しています。
連帯保証人は、検索の抗弁権を有していませんので、お金を借りた本人(主債務者)よりも先に財産を差し押さえられる可能性があります。
③ 分別の利益
分別の利益とは、保証人が複数いる場合に、それぞれの保証人が債務全額の支払い義務を負うのではなく、保証人の人数で按分した金額のみを負担することです。
例えば、債務額が1,000万円の場合、保証人が2人いれば、1人あたり500万円を返済することになります。(民法第456条・427条)
保証人は、この分別の利益を有しています。
連帯保証人は、分別の利益を有していませんので、連帯保証人の人数に関わらず、債務額全額を返済する義務があります。
④ 債務者が自己破産した場合の扱い
結論からお伝えすると保証人、連帯保証人ともに、債務者が自己破産した場合も、お金を返す義務は継続します。
但し、先述した「分別の利益」によって、返済額の負担は変わります。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。共有物分割訴訟、遺産分割調停、遺留分侵害額請求など共有持分をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。