共有物分割請求のメリット・デメリットとは?訴訟手続きの流れや費用
共有物分割請求のメリット・デメリットとは?訴訟手続きの流れや費用
目次
当事者間での話し合いが難しい場合は、共有状態の解消について裁判所に判断を仰ぐことができます。これを共有物分割請求訴訟といいます。
本記事では、2023年の民法改正を踏まえて、共有物分割請求訴訟のメリット・デメリットや裁判をする前に知っておきたいことを分かりやすく解説します。
<この記事でわかること>
- 共有物分割の概要
- 共有物分割請求訴訟のメリット・デメリット
- 共有物分割請求訴訟にかかる費用
- 共有物分割請求の流れ
共有物分割請求とは
まずは共有物分割請求がどのようなものなのかを解説します。
共有者の1人が共有状態の解消を求めること
共有物分割請求とは、共有名義不動産を所有する共有者の一人が、共有状態の解消を求めることでを共有物分割請求といいます。
不動産の共有状態は珍しいことではありませんが、所有者が複数人いる共有名義の不動産の場合、不動産の活用や処分を巡って、共有者間で意見が割れトラブルになりやすい傾向があります。ゆえにさまざまなトラブルが起こりやすいです。
なぜトラブルが起こりやすいかというとなぜなら、他の共有者の同意がなければ大規模な改造や建て替え、共有名義不動産全体の売却ができないからです。
そこで、不動産の活用方法についてこれ以上は話し合っても埒が明かない、共有状態を続けられないという場合に、共有物分割請求を行います。
共有物分割請求が望まれる事例
共有状態の解消を求めることを共有物分割請求といいますが、では、どのような場合に共有物分割請求を行うのでしょうか。
代表的な事例を紹介します。
複数人で相続した共有名義不動産の分割
親族が亡くなり、とりあえず法定相続分に従って遺産分割を行い、共有名義不動産とするケースは少なくありません。
例えば、実家を兄弟で相続したケースなどが代表的です。
兄が実家を建て替えたいと考えても、弟が同意しなければ建て替えることはできず、弟が実家を売却したいと考えても、兄が同意しなければ売却できません。
さらに、どちらか片方が実家に住み続けている場合など、公平に不動産を活用できていなくても固定資産税や維持管理の負担義務は持分割合に応じてかかってしまいます。
このように、複数人で相続した共有名義不動産の活用を巡って、共有者間で意見が合わず話し合いが難航する場合に、共有物分割請求が行われます。
夫婦共有名義で購入した不動産の分割
夫婦どちらも出資して購入した不動産は、夫婦の共有名義不動産です。
離婚をきっかけに夫婦の共有物である不動産を分割する場合にも、共有物分割請求を行えます。離婚に伴い自宅不動産を精算する場合、精算方法として財産分与を選択するケースが多いですが、共有物分割請求を選択することもできます。
親子間での不動産共有の分割
親子間で不動産を共有しているケースでも、共有物分割請求を行うことがあります。
例えば共有している二世帯住宅で、親の持分を子供が買い取る場合や、親が居住する共有名義のマンションで、子供が親に持分を買い取ってもらう場合などが考えられます。
また、将来的な相続トラブルや管理の負担を軽減するため、予め分割をする場合もあります。
不動産の共有が問題化しやすいのはなぜ?
不動産の共有が問題化しやすい理由は、複数人の所有権が絡むことが主な理由です。特に共有する不動産の利用目的や活用方針が一致しないときに、問題が顕在化しやすくなります。
共有不動産は共有者全員の同意がなければ売却や長期間の賃貸などの処分が難しく、共有者間で意見が割れる場合もあります。例えば、ある共有者は売却を希望し、別の共有者は保持を望むといった状況が生じると、意見が対立して問題に発展しやすいです。
また、「自分は住んでいないのに税金だけ負担させられている」など、管理費用や固定資産税などの税金の負担割合を巡るトラブルや、利用頻度の不公平感が争いの原因になることもあります。
このような問題を解決するための1つの手段として、共有物分割請求訴訟が存在しているのです。
共有物分割請求訴訟が必要なケースとは?
共有物分割請求の3つの段階
共有物分割請求には、以下3つの段階があります。
- 当事者間の協議
- 共有物分割調停
- 共有物分割請求訴訟
いきなり訴訟の提起はできず、基本は共有者同士の協議で解決を目指します。共有物の分割について当事者間で協議し、分割方法に合意できればその内容で分割します。
しかし、当事者間の協議で話しがまとまらなければ調停や訴訟といった方法を考えなければいけません。
共有物分割調停は、調停委員が間に入り共有物分割に向けて話し合いをする方法です。調停委員からのアドバイスを受けて合意を目指しますが、それでも合意できなければ訴訟を提起します。
このように3つの段階がありますが、調停は必須ではありません。
当事者間での話し合いがまとまらなければ、調停は飛ばして訴訟を提起することもできます。ただし、遺産分割未了(遺産共有)の状態のままで、特別な事情がない場合は共有物分割請求事態が却下されますので注意しましょう。
共有物分割請求が必要なケース
共有物分割請求訴訟が必要となるケースには、以下のようなものがあります。
他の共有者が共有分割協議に応じてくれない場合
一部の共有者が協議自体を拒否したり、連絡が取れない状況が続いたりする場合は共有物分割請求訴訟で解決を図ることができます。
共有物分割協議を行っても意見がまとまらない場合
協議は行ったものの、各共有者の主張が平行線をたどり、合意形成が困難な状況に陥ったケースです。こうした場合は裁判所の公平な判断をもって解決を目指します。
共有者の1人が共有名義不動産を占拠している場合
特定の共有者が不動産を独占的に使用し、他の共有者の利用を妨げている場合です。共有物分割請求訴訟を通じて、公平な利用や分割を求めることができます。
他の共有者から同意を得られない状態で、不動産を現金化したい場合
自身の持分を売却したいが、他の共有者の同意が得られない場合です。
裁判所の判断により換価分割が決定されれば、持分の現金化が可能なります。
共有物分割請求をするとどうなる?
共有物分割請求訴訟を申し立てると、裁判所は不動産の評価や各共有者の持分割合、事情を考慮して、上記3つの中から、分割方法を提示します。つまり、共有物分割請求訴訟を行うことで、必ず共有関係を解消することができます。
共有物の分割方法には、次の3つがあります。
分割方法 | 詳細 |
現物分割 | 共有不動産の持分割合に応じて物理的に分割し、単独名義で所有する方法 |
代償分割 | 共有財産を取得して他の相続人に代償金(お金)を支払う方法 |
換価分割 | 共有不動産を競売にかけ、落札代金を持分割合によって分配する方法 |
2023年民法改正のポイント
共有物分割請求訴訟について、2023年に民法改正がありました。改正のポイントは、以下の2点です。
- 賠償分割による分割が可能である旨が明文化された
- 共有物の分割方法の検討順序が明文化された
これまで、裁判所により決定される共有物分割の方法は「現物分割」または「換価分割」とされており、「代償分割」は明確に含まれていませんでした。
しかし実際には、共有者間の公平を保ちつつ実状に合った妥当な分割方法として、代償分割の判決が出るケースもありました。
2023年の民法改正にて賠償分割による分割が可能である旨が明文化されたのです。(民法第258条2項)
また、裁判所により決定される共有物の分割方法の検討順序は、明確にされていませんでしたが、2023年に民法改正で次のように明文化されました。(民法第258条3項)
①まずは、現物分割または代償分割を試みる
↓
②それでも解決できない場合は、換価分割を検討する
まずは現物分割または代償分割を検討し、いずれもできない場合や分割によって共有物の価格を著しく減少させるおそれがある場合に、換価分割を行うという順序が明文化されたのです。
共有物分割請求訴訟のメリット
共有物分割請求訴訟のメリットは3つあります。
- 裁判所に判決を委ねることができる
- 価格に公平性がある
- 他の共有者の同意が不要
裁判所に判決を委ねることができる
当事者間での話し合いでは双方の主張がぶつかり合い、どこまでも着地点が見つからないことがありますが、裁判所は法律に則り分割方法を決定してくれます。
当事者同士では感情が入ってしまうため、当然の主張をしているつもりでもスムーズに話し合いが進まないこともあるでしょう。
しかし裁判所の判決であれば、冷静に受け入れられるというケースもあります。
価格に公平性がある
代償分割となった場合、持分を取得する人はその代償金を相手に払わなければいけません。
この場合、相手側の言い値では誰かが得をし、誰かが損をするということが起こってしまいます。
しかし裁判所は、共有者間の言い値ではなく裁判所鑑定(裁判所指定の不動産鑑定士)による適正価格をもとに判断します。
根拠と公平性のある価格で判断されるため、納得感があります。
他の共有者の同意が不要
共有物分割請求訴訟は、他の共有者の同意なく共有者であれば、誰でも提訴することができます。
裁判所は、共有状態の解消を前提に分割方法を決定してくれます。
つまり、共有状態を確実に解消できます。
共有物分割請求訴訟のデメリット
共有物分割請求のデメリットは主に以下の4つです。メリットがある一方、デメリットもあるので理解しておかなければいけません。
- 時間と手間がかかる
- 費用がかかる
- 思い通りの結果になるとは限らない
- 競売になると売却価格が低くなる
時間と手間がかかる
共有物分割請求訴訟は、時間と手間がかかります。
訴えの提起から1半年程度で第1審の判決が出ることがほとんどです。さらに、控訴審や上告審が続くと数年以上かかってしまう場合もあるでしょう。
その間、拘束時間や手間、精神的負担もかかる点には注意が必要です。
費用がかかる
共有物分割請求訴訟には、弁護士費用や裁判費用などをはじめ、およそ100万円以上の費用がかかります。
そのため、訴訟をする方が良いのか、自己持分だけ売却した方が良いのか、金銭的なメリットを十分に考え慎重に検討しましょう。
思い通りの結果になるとは限らない
共有物分割請求訴訟では公平に判決が出されますが、裁判官の裁量が大きく、思い通りの結果になるとは限りません。
例えば換価分割になることを望んで提起したとしても、現物分割や代償分割などの判決が出ることもあります。
競売になると売却価格が低くなる
現物分割ができず、代償分割も難しいと判断されると換価分割の判決が出ることがあります。換価分割は競売にかけて落札代金を分割する方法です。
競売による売却は一般的な相場よりも低い金額で落札されることが多く、手元に入る現金が予想していたものより少なくなる可能性があります。
共有物分割請求訴訟のリスクについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
共有物分割請求訴訟には時間と費用がかかります。そのため、可能な限りを試みることが望ましいでしょう。共有物分割請求訴訟は、当事者間での協議や調停での解決が困難な場合の最終手段として位置づけられています。
共有物分割請求の流れ
共有物分割請求の流れは、以下の通りです。
- 共有者同士で協議
- 弁護士に相談
- 訴訟申し立て
- 呼出状の送付
- 裁判開始
- 和解または判決
①共有者同士で協議
まずは、当事者同士での協議や交渉を試みます。
訴訟はメリットだけでなくデメリットもあるため、共有者間での話し合いで解決できればベストです。
ただし、当事者同士での話し合いで解決するかは分からないため、訴訟となったときに備えて協議の申し入れには内容証明郵便を活用しましょう。
後々、「協議をしていない」と相手から言われないようにするためです。
内容証明郵便は、発送日や郵便物の内容、相手の受取日時を証明することができます。
②弁護士に相談
共有者同士での解決が難しい場合は、共有不動産に強い弁護士に相談しましょう。
法的に正しい主張ができ、有利に解決するには専門的な知識が必要です。どのような解決方法を望むのかも大切ですが、どのような解決方法があるかのアドバイスを受けることも大切です。
共有者の人数やトラブルの内容などさまざまなケースがあるため、共有物分割請求に強い弁護士に相談しましょう。
③訴訟申し立て
弁護士に間に入ってもらっても解決しない場合は、訴訟を申し立てます。
すでに共有者間で協議を行っている場合は、調停を行わず訴訟の申し立てが可能です。
「共有物分割請求訴訟」の申し立て先は、共有不動産の所在地、または被告の住所地を管轄する地方裁判所です。被告とは、訴訟を受けた他の共有者のことを指します。
主に以下の必要書類を提出し、申し立てます。
- 訴状の正本および副本
- 収入印紙
- 固定資産評価証明書
- 全部次項証明書(登記簿謄本)
訴状の正本に収入印紙を貼り付けて裁判所に提出します。訴状は弁護士が作成し、副本は自分以外の共有者全員に送付します。
固定資産評価証明書は所轄の役所で取得でき、全部事項証明書(戸籍謄本)は法務局で取得可能です。
④呼出状の送付
訴訟の申し立てから1ヶ月ほどで、共有者全員に対して裁判所から呼出状が送付されます。
呼出状とは、民事訴訟で原告や被告などに期日を知らせ、出頭を命じることが記載されている書面のことです。呼出状には答弁書も添えられています。答弁書とは、訴訟に関する認否や意見を記載して提出する書面のことです。
他の共有者は、呼出状が届いたことをもって訴訟を起こされていることに気づきます。
口頭弁論期日に出席できない場合は、答弁書に必要次項を記載し、期日の一週間前までに裁判所に提出しなければいけません。どちらも行わなければ、原告(訴訟を申し立てた人)の主張がそのまま判決結果になる可能性があります。
⑤裁判開始
裁判所は、口頭弁論または答弁書をもって各共有者の主張を審理します。
弁護士に相談している場合、口頭弁論には弁護士が出席するので、当事者が必ず出席しなければいけないものではありません。
他の共有者から反論がある場合などは、複数回にわたって口頭弁論が行われることもあります。
⑥和解または判決
裁判所は各共有者の主張を審理しますが、審理の途中で裁判官から和解勧告を受け和解により終結することが多くあります。
和解すると早期に解決でき、当事者が主張した合理的な分割方法で不動産を分けられるケースが多いです。
和解不成立の場合は判決を待たなければいけません。先述した現物分割・代償分割・換価分割の3つの分割方法のうちいずれかの判決が下されます。
判決に不服の場合は、控訴を申し立てます。
共有物分割請求訴訟にかかる費用
共有物分割請求訴訟にかかる費用は、50~150万円が相場です。
費用の内訳には、弁護士費用・訴訟費用・不動産鑑定費用などがあります。
内訳 | 費用 |
弁護士費用 | 40~60万円 |
訴訟費用 | 5万円 |
不動産鑑定費用 | 20~30万円 |
弁護士費用
共有物分割請求訴訟において、自分に有利な条件で解決するためには、共有名義不動産に強い弁護士に依頼することが重要です。弁護士費用は主に「着手金」と「報酬金」の2つに分かれています。
着手金は、弁護士に依頼する際に最初に支払う費用です。一方、報酬金は裁判終了後に、分割で得た経済的利益の額に応じて支払います。
費用の相場は、着手金・報酬金ともにそれぞれ20~30万円程度が目安です。
ただし、報酬金の金額は弁護士事務所によって異なるため、複数の事務所から見積もりを取り、じっくり比較することをおすすめします。
訴訟費用
共有物分割請求訴訟の提起には、印紙代と切手代がかかります。
印紙代はその不動産の固定資産評価額によって変動します。
- 土地の場合:固定資産評価額の6分の1
- 建物の場合:固定資産評価額の3分の1
上記を計算し、さらに持分割合を乗じます。算出された額によって、裁判所の手数料が決まっています。一般的に3~5万円の収入印紙代となるケースが多いです。
さらに、裁判所が当事者に書面を郵送するための郵便切手代も支払わなければいけません。郵便切手代は相手方が一人の場合6,000~8,000円、二人以上の場合は人数が増えるごとに約2,000円ずつ加算されます。
不動産鑑定費用
共有物分割請求訴訟では不動産の価格を公平に判断するために、不動産鑑定が必要となる場合もあります。鑑定費用は「土地のみ」「建物のみ」「土地と建物両方」のどれを評価するかで異なります。
不動産鑑定士による鑑定費用は、裁判所が選任する不動産鑑定士により異なりますが、一般的な住宅の場合、20~30万円程度が相場です。
なお、不動産鑑定を行わずに、不動産業者が作成する査定書を利用する方法もあります。
共有物分割請求をせずに共有状態を解消するには?
ここまで説明した通り、共有物分割請求訴訟は時間と費用がかかる方法です。可能であれば他の方法で共有状態を解消することが望ましい場合もあります。ここでは、訴訟を避けて共有関係を解消終了させる選択肢代替手段について解説します。
共有持分の放棄
共有持分を放棄することで、他の共有者がその持分を引き継ぎ、共有状態を解消できます。もし放棄をすることになった場合は、他の共有者との共同で登記申請の手続きを行います。
なお、別の共有者も持分を放棄していった結果、自分が最後の1人になると放棄ができなくなる可能性があります。このようなケースになったときでも、売却や贈与など、別の手段で手放すことは可能です。
共有持分の放棄は、不動産の管理や固定資産税の負担から解放されたい場合に有効な選択肢です。ただし、放棄した持分の価値に相当する金銭的な対価や利益を得られないため、放棄が選択肢として最適かどうかは専門家に相談してみると良いでしょう。経済的な損失を被る可能性があります。
参考記事:【2024年最新版】共有持分の放棄は早い者勝ちって本当!?手続きの流れや注意点を解説
他の共有者への持分を売却またはや贈与
他の共有者に自分の持分を売却するか、無償で贈与することで共有関係を解消できます。持分を手放す側と取得する側で合意できる場合は、有効な手段です。ただし、実際には「いくらで売買するか」で双方の折り合いが付かないケースが多いです。ただし、売却するには共有者全員の合意が必要です。
また、そして贈与の場合には贈与税が課される可能性があります。売却の際も、市場価値を極端に下回る価格で売却すると、税務署から贈与とみなされる可能性があります。もし心配な点があるなら、税理士などの専門家に相談しながら進めると良いでしょう。
第三者へ持分を売却
第三者(買取業者や投資家)への売却は、他の共有者との交渉が難しい場合や、迅速な現金化が必要な場合に有効な選択肢です。ちなみに自分の持分のみを第三者に売却する場合は、他の共有者の同意や、共有者全員の合意は不要です。
とはいえ、持分の売却後に共有者とトラブルになってしまうケースもあるため、売却先については慎重に検討する必要があります。
自己持分の売却後、残された共有者と買取業者との間でトラブルが発生する可能性もあるため、事前に他の共有者に売却の意向を伝え、理解を得ておくことが望ましいでしょう。
他の共有者とのトラブルを避けるために、共有不動産に関する法律知識等が豊富な共有持分を専門に扱っている不動産会社を選ぶのがおすすめです。
共有物分割請求訴訟は共有者同士のトラブルを避けるための方法
共有物分割請求において、協議で解決できない場合は共有物分割請求訴訟を提起できます。
当事者間での話し合いが難しい場合は、弁護士や共有名義不動産に詳しい不動産会社に相談し、状況に応じて調停や訴訟を検討しましょう。
専門的な知識をもつ弁護士に依頼することで、有利に解決するためのサポートを受けられます。
センチュリー21中央プロパティーでは、お客様が抱えている問題を解決する方法を弁護士助言のもと、が共有持分に精通したスタッフがご提案させていただきます。弁護士相談料や売却時の仲介手数料等は完全無料ですので、共有名義不動産でお悩みの方はぜひ費用を抑えて共有状態を解消したい方は、一度ご相談ください。
共有物分割請求のよくあるご質問
Q.調停や裁判をするよりも持分を売却した方が良いのでしょうか?
調停や裁判は、当事者にとって費用面や心理的な負担が大きいものです。また、完全な解決までに半年以上かかるのは当たり前で、第一審での判決に不服がある者は控訴、上告することもでき裁判は年単位で長期にわたります。その間代理人と何度も打ち合わせ、証拠収集・証拠保全等、時間的拘束は当然多くなります。
勝訴した場合でも、弁護士への成功報酬費用を差し引くと、実は持分を売却していた方が対価が多くなることもあり得ます。
訴訟額が莫大な場合などは裁判を続けることも考えるべきですが、訴訟に費やした費用や時間、何より心的疲労を考えると、裁判を継続するよりも多少価格は下がったとしても早期に持分のみを売却する方が賢明な判断となることも多いです。
Q.共有物分割請求を禁止することはできますか?
民法は、共有者間で、共有物の分割禁止の契約を行なうことを認めています。(あくまで共有物の分割を禁止するにとどまるので、共有持分の売却を禁止することはできません)
分割禁止とする期間は最長で5年以内とされ(民法256条1項但書)、契約の更新も可能ですが、更新後の分割禁止の期間も最長5年以内であることが必要です(民法256条2項但書)。
但し、この分割禁止の契約は、登記をしなければ、共有持分の特定承継人に対して対抗することはできません(不動産登記法59条6号)。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。共有物分割訴訟、遺産分割調停、遺留分侵害額請求など共有持分をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。