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共有名義不動産を勝手に売られました|弁護士Q&A

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共有名義不動産を勝手に売られました

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ご相談内容

母が9年前に亡くなり兄弟3人の共同名義になっている空家の一軒家があります。 

弟二人が勝手に地元の不動産屋にお願いして売りに出してしまいました。 売出し価格の相談など私に何の連絡もなく。 昔からわがままな弟ですが、勝手に売られるのは納得いきませんし、共同名義のみんなが同意していなくても売却可能なのでしょうか? 

私は金銭の対価を弟二人に支払い、兄弟の共同名義を一つに纏めて、娘夫婦に住ませたい意向があります。 兄弟なので複雑な感情がお互いにあり、とても話がまとまりません。

 何か良いアドバイスを頂けますか?

 またこのような場合、皆さんはどのように解決しているのでしょうか?

ご相談のポイント

  • 兄弟3人の共同名義(本人は長男)
  • 弟二人が何の相談もなく共同名義の不動産を売りに出している
  • 本人は手放すことなく適正価格で弟二人の共同名義を買い受け、娘夫婦に住ませたい

①共有不動産の売却には共有者の同意が必要

不動産が共有名義である場合、不動産全体を第三者に売却するためには、共有者全員の同意が必要になります(民法251条1項)。 仮に、売却に賛成する共有者の持分割合が過半数を占めていたとしても、1人でも反対する限り、全体での売却を行なうことはできません。 本件でも、ご相談者様が同意しない限りは、弟2人は、不動産全体を売却することはできないことになります。 とはいえ、このまま共有関係を続けても、お互いにとってメリットがありませんので、何らかの形で共有関係の解消を図るべきです。 

②共有関係の解消方法

共有関係をどのように解消するかは、まずは共有者間の協議をもって決めるべき問題です。 ご相談者様の希望されている、他の共有者の共有持分を全て買い受けるという方法は、「全面的価格賠償」と呼ばれる分割方法になります。 弟2人は、不動産を売却して現金化することを希望していますので、買取価格に納得すれば、全面的価格賠償の提案に応じる可能性が高いと思われます。 もっとも、こちらの提示金額に納得してくれれば良いのですが、他方で、相手が、こちらの足元を見て、買取金額のつり上げを要求してくる可能性もあります。 売買金額はあくまで当事者の合意で決めるものですから、つり上げの要求に応じるか否かは、ご相談者様の自由です。

但し、金額のつり上げを断った上で、なお共有持分の取得を図るのであれば、裁判所に共有物分割請求訴訟を提起する必要がありますが(民法258条1項)、この場合、最終的に裁判所が命じる分割方法が、ご相談者様の希望通りにならない可能性があります(同条2項・3項)。 例えば、ご相談者様が全面的価格賠償を希望して訴訟を提起したとしても、裁判所が全面的価格賠償での解決が困難と判断したときは、不動産の競売が命じられることになりますので、予めご留意ください。

まとめ

共有名義の不動産の売却には、全ての共有者の同意が必要です。1人でも反対する共有者がいれば、全体での売却はできません。

共有持分の買取(全面的価格賠償)での解決を他の共有者に打診する場合は、買取金額の交渉となります。

どうしても買取金額の点で他の共有者との協議が纏まらない場合は、裁判所に共有物分割請求訴訟を提起し、全面的価格賠償での分割を求めるという手段もあり得ますが、希望通りの判決が出ない(競売が命じられる)可能性もあります。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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