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相続税の課税額はいくら?ケース別の早見表と計算方法|ニュース

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相続税の課税額はいくら?ケース別の早見表と計算方法

1.相続税の金額を決める要素とは?

相続税の金額を決める要素は「課税価格の合計額」と基礎控除額を決める「法定相続人の数」の2点です。

1-1.課税価格の合計額

課税価格の合計額とは、相続税の課税対象となる財産の評価額のことを指します。マイナスの財産となる債務などをプラスの財産から差し引いた金額です。

課税価格の合計額=プラスの財産-マイナスの財産

プラスの財産には現金や預貯金などが該当します。一方マイナスの財産には、金融機関などからの借入金や固定資産税などの公租公課、葬式費用などが該当します。

プラスの財産マイナスの財産
現金預貯金不動産有価証券自動車生命保険金絵画・骨とう品 など借入金被相続人に係る未払医療費国や地方公共団体に納める税金や負担金(公租公課)など葬式費用(一部除く)

また生前中に贈与した財産は、相続が発生する7年前まではプラスの財産として含まれます。

プラスの財産より、マイナスの財産の方が大きければ、課税価格の合計額は0円になるため、相続税は課税されません。

さらに次の項で紹介する法定相続人の数が多いほど、相続税の納税額を圧縮することができます。

1-2.法定相続人の数

課税価格の合計額から差し引くことができる「基礎控除額」は以下の計算式で算出します。

基礎控除額=3,000万円+600×法定相続人の数

例えば法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4,200万円となります。課税価格の合計額が基礎控除額以内であれば、相続税を課せられることはありません。

法定相続人は、被相続人(亡くなった方)の配偶者に加えて優先順位の高い方が該当します。一般的には「配偶者と子ども」が法定相続人になるケースが多いですが、子どもがいない家庭は以下の表の通り、第二優先順位の方が法定相続人に該当します。

第一優先順位子どもなどの直系卑属
第二優先順位親などの直系尊属
第三優先順位兄弟姉妹

法定相続人の数が多いほど、基礎控除額は増えるため、相続税の金額を抑えることにもつながります。

2. ケース別相続税

ここではケース別の相続税早見表を紹介します。

<相続人が配偶者と子どもの場合>

遺産総額子供1人子供2人子供3人
5,000万円40万円10万円0万円
6,000万円90万円60万円30万円
7,000万円160万円113万円80万円
8,000万円235万円175万円138万円
9,000万円310万円240万円200万円
1億円385万円315万円262万円
1億5,000万円920万円747万円665万円
2億円1,670万円1,350万円1,217万円
3億円3,460万円2,860万円2,540万円
5億円7,605万円6,555万円5,962万円
10億円1億9,750万円1億7,810万円1億6,635万円

配偶者と子どもが法定相続人の場合、配偶者の方は、「課税価格の合計額の半分(法定相続分)まで」または、「課税価格の合計額のうち、1億6,000万円まで」は非課税となる配偶者控除が適用されます。

<相続人が子どもだけの場合>

遺産総額子供1人子供2人子供3人
5,000万円160万円80万円20万円
6,000万円310万円180万円120万円
7,000万円480万円320万円220万円
8,000万円680万円470万円330万円
9,000万円920万円620万円480万円
1億円1,220万円770万円630万円
1億5,000万円2,860万円1,840万円1,440万円
2億円4,860万円3,340万円2,460万円
3億円9,180万円6,920万円5,460万円
5億円1億9,000万円1億5,210万円1億2,980万円
10億円4億5,820万円3億9,500万円3億5,000万円

法定相続人が子どもだけの場合、配偶者控除が適用されないため、1人あたりの納税額は増えてしまうため注意してください。

3.一次相続と二次相続で相続税が変わる?

一次相続と二次相続では、相続税の納税額が異なります。

最初に一方の親が死亡したときの相続を「一次相続」、残されたもう一方の親が死亡したときの相続を「二次相続」といいます。 

一次相続は片方の親と子で相続しますが、二次相続は子供だけが相続するという点が大きな違いです。

二次相続では配偶者控除が適用されないうえ、法定相続人が1人減るため納税額が高くなる傾向にあります。

先程の早見表を比較してわかる通り、「相続人が配偶者と子どもの場合(一次相続)」と「相続人が子どもだけの場合(二次相続)」では納税額に大きな違いがあります。

仮に遺産総額が5,000万円で子ども1人と仮定すると、子ども一人当たりの納税額は120万円も異なります。

とはいえ、一次相続で子どもが相続する財産額を増やしておけば、二次相続が発生した際の課税価格の合計額を低くすることもできます。

もちろん二次相続が発生した際の不動産や有価証券などの評価額が高くなっている可能性もあるため、一概に二次相続の方が納税額を抑えられるというわけではありません。

そのため相続が発生するまえに専門家に相談し、相続対策などを検討しておくようにしましょう。

4. 相続税の計算方法

相続税の計算は以下の手順で行います。

  1. 課税価格の合計額を算出する
  2. 基礎控除額を差し引く
  3. 課税対象額額を法定相続分に按分する
  4. 税率を掛けて控除額を差し引く
  5. 控除を差し引く

4-1.課税価格の合計額を算出する

現金の場合、額面金額が課税価格となりますが、不動産や有価証券などは専門的な計算式で算出します。

<不動産の評価方法>

土地の評価方法土地の評価額=敷地面積×相続税路線価(路線価方式)土地の評価額=固定資産税評価額×倍率(倍率方式)
建物の評価方法建物の評価額=固定資産税評価額

<株式の評価方法>

株式の評価方法は相続発生時の価格をもとに計算され、以下の4つのうち最も低い金額が適用されます。

  • 相続開始日の終値(土日などの株式市場が休みの日は相続開始日に最も近い日の終値)
  • 相続開始日の当月の終値平均
  • 相続開始日の前月の終値平均
  • 相続開始日の前々月の終値平均

不動産や有価証券、自動車などは複雑な計算式で算出するうえ、金額を間違えてしまうと納税額にも違いが生じてしまいます。課税価格の合計額を算出する際は、専門家に相談することをおすすめします。

4-2.基礎控除額を差し引く

先程紹介した基礎控除額を差し引きます。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人

この際注意しなければいけない点は、「誰が法定相続人」であるのかです。被相続人が前妻との子どもがいる場合は法定相続人に該当します。また愛人などとの間に子どもがいる場合も法定相続人に含まれるため、相続が発生したタイミングで、相続人の調査を行う必要があります。

4-3.法定相続分に按分する

基礎控除額を差し引いた課税対象額の算出ができた後は、下記の表の通り民法で定められた相続できる財産の割合を法定相続人で按分します。

相続人配偶者親(直系尊属)兄弟姉妹
配偶者のみ100%
子供のみ子供1人の場合は100%(2人なら1/2ずつ)
親のみ100%(両親がいる場合は1/2ずつ)
兄弟姉妹のみ兄弟の人数に合わせて按分(2人なら1/2ずつ)
配偶者と子供1/21/2を子供達で按分(2人なら1/4ずつ)
配偶者と親2/31/3(両親が入る場合は1/6)
配偶者と兄弟姉妹1/4を兄弟たちで按分(2人なら1/8ずつ)

4-4.税率を掛けて控除額を差し引く

各人に按分した後は税率を掛けて控除額を差し引きます。税率と控除額は以下の表の通りです。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

例えば按分した課税対象額が2,000万円の場合、「2,000万円×15%-50万円=250万円」となります。

4-5.相続税の負担を軽減できる控除

配偶者控除や基礎控除の他に、相続税の負担を軽減できる控除があります。

  • 贈与税額控除
  • 未成年者控除
  • 障害者控除
  • 相次相続控除
  • 外国税額控除

上記の控除にはさまざまな条件が設けられています。詳しく知りたい方は「相続の税金はいくら?財産にかかる相続税の計算方法や控除を解説 」を確認してみましょう。

この記事の監修者

高岡 徹タカオカ トオル

公認会計士・税理士

公認会計士。東京都出身。高岡徹税理士事務所代表。大手監査法人入所後、公認会計士登録を経て独立。以前、講師を務めていた経験もあり、共有持分に関わる難解な会計処理・対処すべき課題を分かりやすく解説することが得意。大手企業からベンチャー企業、役員個人の会計にも携わっており、幅広い知識を持っている。

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