\ 無料相談・査定をする /

松原昌洙が【あぶない!! 共有名義不動産】の第4章を解説

更新日:
作成日:

【松原昌洙が解説】共有名義不動産のトラブルは未然に防ぐことができる

全国各地で後を絶たない不動産トラブル。その中でも発生が多く解決が難しいのが「共有名義不動産」をめぐるトラブルです。

書籍『あぶない!! 共有名義不動産』は、不動産トラブル解決のスペシャリストが執筆した一冊。その中から、このページでは「トラブルを未然に防ぐにはどうすべきか」を取り上げ解説していきます。

【Amazonで発売中】あぶない!! 共有名義不動産

ー共有名義不動産のトラブルを防ぐ方法はあるのか

前の記事「トラブル解決への道筋 現実的な解決策は何か」では、共有名義不動産をめぐるトラブルが起きてしまった場合にどのように対処すべきか説明しました。

しかし、できることならばトラブルを未然に防げるのが一番です。

そのためには、共有名義不動産を持っている限り「トラブルはいつか確実に起こるもの」と捉えておくことが重要です。加えて、共有名義不動産をめぐるトラブルは、時間の経過によって複雑化しやすい性質があります。子どもや孫といった後の世代にも影響を及ぼす可能性が高いのです。

トラブルが起こりやすいとわかっていれば、「とりあえず共有名義に」という安易な選択は回避するはずです。火種を作らないことが一番の防止策につながります。

次から「とりあえず共有にする」を避けるための具体的なポイントを紹介します。

ー遺産分割協議、安易に済ませないで!

具体的な策として「遺産分割を適切に行って不動産を単独名義にしておくこと」があります。まかり間違えても「とりあえず共有名義」という選択は避けましょう。

遺産分割のやり方には、指定分割と法定分割の2つがあります。

指定分割は、遺言書の指示に従って相続した財産を分ける方法。法定分割は、分割方法について指示している遺言書が存在しない場合の分け方で、法定相続分に従って財産を分ける方法です。

また、遺言書の有無に関係なく、相続人全員の合意があれば自由に分割方法を決めることもできます。

遺産分割を決める遺産分割協議は、「◯◯日以内に終える」という法律上の定めはなく(相続税の優遇措置を受けるためには期限があります)、相続人全員の合意が得られるまでいつでも行うことができます。

しかし、遺産分割協議がまとまらないということもあるでしょう。その場合は家庭裁判所での調停も視野に入れてください。遺産分割調停の申立ては相続人のうち一人の住所地にある家庭裁判所で行います。相続人と被相続人の間柄によって必要となる書類は異なってきます。本書ではいくつかのケースごとに必要となる書類をまとめていますので、ご参考にしてください。

ー相続放棄はどうなのか

トラブルを避ける手段として「相続放棄」という選択肢もあります。「後々トラブルになる可能性があるならほしくない」という場合にメリットが得られる選択です。

そもそも相続が発生した場合どのような選択肢があるのか、今一度整理してみましょう。

  • ①単純承認:相続人が留保を付けずに、すべての財産・債務を相続する旨の意思表示をすることです。一般的な相続では、この単純承認が行われていることになります。
  • ②限定相続(限定承認):すべての財産・債務を相続するものの、債務を弁済する責任はプラスの財産を限度とする旨の意思表示をすることです。例えば「どれほど債務(借金)があるかわからない」「特定の財産だけは相続したい」といった場合に検討します。
  • ③相続放棄:すべての財産・債務を相続しない旨の意思表示をすることです。相続放棄を行うとはじめから相続人ではなかったことになります。他の相続人と不動産を共有する関係を免れることができます。

相続放棄の手続きは、必要書類を用意すると家庭裁判所で簡単に行うことができます。

注意したいのは、「単純承認」をしたと見なされ相続放棄ができなくなるケースです。

具体的には、「相続財産の処分行為」「熟慮期間の経過」「背信行為」などがあり、特に「熟慮期間の経過」には気をつけるべきです。

相続放棄は相続が発生したことを認識してから3ヶ月以内に行わねばならず、決めかねているような場合は家庭裁判所に期間の延長を求める必要があります。

ー夫婦で夢のマイホーム購入、一度立ち止まって慎重に!

夫婦で不動産を共同購入するという状況も考えてみましょう。

単独名義にするか共有名義にするかは、あらかじめしっかりと考えた上で決めておくことが重要です。ここまで説明してきたトラブルのリスクはもちろん、一度共有名義で契約してしまうと安易に変更できなくなります。

また、物件の購入費など各自が負担した費用の割合を証明できる資料を残しておく、利害に関わる事項についてしっかりとルールを取り決め文書として残しておくことも重要です。「こんな合意をした覚えはない」「あのとき購入費を半分負担したはずだから持分は2分の1のはずだ」など、後々意見が分かれることがあります。

本記事では「トラブルを未然に防ぐにはどうすべきか」について解説してきました。

共有名義不動産をめぐるトラブルは全国各地で起こっている身近な問題です。ぜひ、本記事と書籍『あぶない!! 共有名義不動産』を参考にしてみてください。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

この記事のタグ

おすすめの記事はこちら