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【松原昌洙が解説】古いアパートを相続した相続人たちが揉める理由基礎知識

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【松原昌洙が解説】古いアパートを相続した相続人たちが揉める理由

前回までの記事では、相続トラブルとその解決策についてご紹介しました。

親がアパートやマンションを所有していた場合、収益不動産を相続するケースもあります。この収益不動産は、しばしば共有者間でのトラブルの火種になります。

今回は、「共有名義の収益不動産」について解説していきます。

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収益不動産の共有で起こる3大トラブルとは

アパートやビルやマンションなど、家賃収入を得る目的で所有している共有名義不動産は、お金が絡むためトラブルになりやすい不動産です。

この項目では、共有名義の収益不動産に起こる3大トラブルについてご紹介します。

①管理者になりたくない問題

収益不動産を共有したときに必ず直面する課題が「管理者の選定」です。

管理者にはさまざまな負担と苦労があり、責任も問われます。

「では自分が引き受けます」と率先して手を上げる共有者は、まずいないでしょう。

管理者は、入居者への対応、家賃や修繕の管理に加え、共有者間での収益の分配も行わなければなりません。

その他にも、多種多様な雑務が与えられることになります。

他の共有者たちに信頼されていることは前提として、責任感が強く、細かいところまで配慮でき、お金のやりくりや交渉が得意な方でないと難しいでしょう。

管理者の選定は慎重に行わないと、トラブルの元となってしまいやすいのです。

②家賃独り占め問題

収益不動産における最も多いトラブルといえば、家賃トラブルです。

「家賃の設定額はこれでいいのか」

「家賃を独り占めされている」

「分配額に納得がいかない」

先述の通り、管理者が入居者の対応や建物の修繕管理などを行います。

共有者のうち、一人が管理業務を担っている場合、管理者としては、実質管理しているのは自分なのだから、「家賃を独り占めしたい」「多く家賃を貰いたい」というのが本音です。

お金の管理を管理者が一人で行っている場合、共有者に内緒で分配を減らすことも珍しくありません。

しかし、家賃収入の分配は、持分比率が原則です。

家賃の分配を事前に協議し、書面として残しておけば、トラブルは発生しないことになります。

③修繕費用払いたくない問題

不動産経営には、修繕費や各種税金など、何かとお金がかかるものです。

それらの出費を共有者間でどのように負担するかは、トラブルの元になりやすいので、必ず事前に決めておくことが大切です。

管理費用や税金は、家賃と同じで、持分比率に応じて負担するのが原則です。

ここで問題となるのは、「その出費は本当に必要経費なのか?」という点です。

設備の補修などは、共有者間で「今すぐ修繕すべき」「まだ必要ない」などと、意見が分かれる場合もあります。

そこで、一番手っ取り早いのは「経費については管理者に一任する」と書面に明記し、約束し合うことです。

思わぬトラブルに発展しないよう、事前にしっかり話し合っておきましょう。

古いアパートの相続で困ること

「相続した収益物件の入居率が悪く、赤字が続いている」

こんなとき、全体売却ができればいいのですが、共有者に反対する人がいれば売ることはできません。

さらに、「このままでは古すぎて入居者が来ない。思いきって新しく建て替えよう」と提案しても、「改築費用は誰が負担するのか」と、さらなる話し合いが必要となります。

収益も生み出せない、解体もできない、売れない、となると、収益不動産を相続した相続人たちは、八方塞がりな状態に陥ります。

良かれと思って、収益不動産を遺しても、相続人たちからすると「負動産」になりかねないのです。

本書では、実際に古い収益不動産を相続した方の相談事例を掲載しています。

解決策もくわしく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

相続時に分割しなかったために税金負担が高額に⁉

「仲の良いきょうだいだから、とりあえず共有のままで支障がない」

相続をすることになったときは、手続きなどの忙しさもあり、このようにいったん放置してしまうこともあるでしょう。

しかし、相続時に分割しなかったために、かえって高額な税金がかかるケースもあるのです。

不動産の取得時には、不動産取得税や登録免許税などの各種税金が発生します。

税金は、相続する不動産によってはかなりの高額になることもあります。

最初は共有状態にしていても、「将来のことを考えて、やっぱり単独名義にしたいから、きょうだいの持分を買い取る」と思い至ったとします。

このとき、破格の安値だと贈与と見なされ、贈与税がかかってしまう可能性があります。

さらに、持分を買い取る場合、不動産取得税や登録免許税などが掛かります。これらの税金は、相続時に最初から単独名義にしておけば、負担が軽減できた税金たちになります。

遺産相続が発生した段階で遺産分割協議を行い、共有名義での不動産相続は極力避けましょう。そうすることで、余分な税金は発生せず、出費を抑えることができます。

まとめ

収益不動産を共有関係のままにしておくと、いざ解消というときに、大きな負担を背負うことにもなってしまいます。

そうならないためにも、相続が発生した段階で、きっちり分割をしておくことを目指しましょう。

次回は、さらに複雑な「共有不動産の地主とのトラブル」についてご紹介します。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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