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【遺言書だけでは守れない 共有名義不動産の相続トラブル解決法】出版記念インタビュー基礎知識

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【遺言書だけでは守れない 共有名義不動産の相続トラブル解決法】出版記念インタビュー

株式会社中央プロパティーの代表を務める松原昌洙が、「遺言書だけでは守れない共有名義不動産の相続トラブル解決法」を出版しました。

本書では、長年相続不動産のトラブル解決に携わってきた松原が、不動産を相続した相続人に伝えたいことを綴っています。インタビューでは、執筆に込めた思いや創作の裏側、そして読者へのメッセージを余すところなく語っていただきました。

ー新刊『遺言書だけでは守れない共有名義不動産の相続トラブル解決法』の出版おめでとうございます!執筆のきっかけを教えてください。

相続不動産に関する問題は、法律や税制の複雑さから多くの人が頭を悩ませる分野です。

私自身、相続不動産専門の売買仲介業者として、多数の相続案件に関わる中で、適切な情報が不足しているためにトラブルが発生するケースを数多く見てきました。

そこで、一般の方々がわかりやすく相続不動産について理解できるようなガイドブックを作りたいと考え、この書籍の執筆を決意しました。

具体的な事例を交えながら、法律の専門知識だけでなく、相続手続きの注意点や実践的なアドバイスを盛り込むことで、多くの方に役立つ内容を提供することを目指しました。

ー相続不動産に関する具体的な問題点や課題についてお聞かせください。

不動産を相続した方の多くが、「とりあえず共有名義」という選択をします。つまり、複数人で一つの不動産を所有するかたちになるのです。

共有名義不動産は、複数の所有者がいるがゆえに、様々なトラブルが勃発します。

まず、不動産の活用方法や売却時期についての意見の不一致が頻繁に生じます。特に売却においては、全員の同意を得る必要があるため、共有者が多い場合は、さらに意思決定に時間がかかります。税金や維持管理費の負担も共有者間で不公平感が生じることがあり、その支払いを巡る対立が発生することがあります。

さらに、相続時には新たな共有者が増え、権利関係がどんどん複雑化します。これらの問題が深刻化すると、法的トラブルに発展することもあり、親族間の関係が悪化するリスクも高まります。

ー本書で特に強調したかったポイントは何ですか?

本書で特に強調したかったのは、「遺産分割における注意点」と「専門家の活用」です。

遺産分割において最も重要なのは、相続人同士の合意形成です。特に不動産は、現物分割が難しい特徴があります。そのため、遺産分割協議では安易に共有名義で相続することは避け、単独名義での相続を推奨します。

また、専門家の活用も欠かせません。万が一トラブルに発展してしまった場合や当事者間での話し合いが難航するようであれば、弁護士や税理士、司法書士などの専門家に、可能な限り早い段階で相談することが大切です。

本書では、共有者が交渉に応じない場合や音信不通のケースなど、具体的な事例を交えて詳しく解説しています。

ー相続不動産の分割方法に関するアドバイスを教えてください。

相続不動産の分割方法には、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割があります。

共有分割は、不動産を複数の相続人で共有する方法ですが、管理や利用において意見の不一致が生じやすく、トラブルの原因となることがあります。

先述した通り、共有名義不動産は、多くのトラブルリスクがありますので、共有分割はおすすめしません。

不動産の分割方法をめぐるトラブルを防ぐには、まず、全ての相続人がそれぞれの分割方法におけるメリットデメリットを正しく理解することです。

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。そのため、意見の対立や感情的な問題が生じやすく、協議が長期化することもあります。

また、後で「言った言わない」のトラブルを防ぐためにも、遺産分割協議書を作成し、全員が署名することで法的な効力を持たせることが重要です。

意見がまとまらず、遺産分割協議が進まない場合は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

ー遺言書の作成において、不動産相続に関する具体的な留意点は何ですか?

不動産相続における遺言書を書く際に重要なポイントは、「明確な表現」です。

遺言書では、具体的で曖昧さのない表現を使うことが肝要です。例えば、どの不動産を誰にどのように分割するのかを明確に記載します。各不動産の場所、所有者、取得割合、条件(例:生存期間等)など、細部まで詳細に記述することが大切です。

遺言書の内容が曖昧な場合、相続人間で意見が分かれることがあります。また、遺言書が不正確な情報や誤解を招く表現を含んでいる場合、相続人間での誤解や対立が生じることもあります。さらに、遺言書が法的手続きや要件に適合していない場合、法的な効力に疑問が生じ、トラブルの原因となります。

これが、本書のタイトルにもあるように「遺言書だけでは守れない」理由なのです。

ー親族間での相続トラブルを避けるために、どのような対策を講じるべきでしょうか?

親族間の相続トラブルを避けるためには、事前の準備とコミュニケーションが鍵となります。まず、被相続人が生前に遺言書を作成し、相続人に対して明確な指示を残すことが重要です。

また、相続人間での定期的な話し合いや情報共有を行い、相続に関する認識を統一しておくことも有効です。仲のいい家族こそ、「私たちに限って大丈夫」と思いがちですが、それによって大きなトラブルに発展したケースをたくさん見てきました。

日本では、生前に相続に関する方針を家族で話し合う文化が、まだまだ少ないですが、積極的に話し合いの機会を設けることで、防げるトラブルも多いのです。

万が一トラブルに発展してしまった場合は、第三者の専門家を交えた協議を行うことで、公平かつ客観的な意見を得ることができ、早期のトラブル解決が可能です。

ー相続不動産の売却を考える際、どのような手続きが必要ですか?

相続不動産を売却する際には、まず相続登記を完了させる必要があります。相続登記が済んでいない場合、売却手続きが進められません。ちなみに、当社では、相続登記の手続きも代行しています。

また、不動産の全体売却を目指すのか、持分のみの売却を目指すのかによっても、手続きは異なります。

いずれにしても、相続不動産は、通常の不動産と比べて権利関係が複雑で、法律的な規制も絡んできます。売却の相談先は、相続不動産に特化した業者がおすすめです。

専門知識のない業者に売却を依頼すると、買い手が見つからなかったり、売却後にトラブルになるケースもあります。

本書では、業者選びのポイントや不動産の査定額の算出基準についても、詳しく解説しています。

ー将来的な不動産相続のトレンドや変化について、どのように予測されていますか?

最近の傾向として、高齢化社会の進展により相続発生件数が増加しています。

都市部では不動産の価値が高まり、相続税の負担が増加しています。一方、地方では管理不全状態の空き家が増加しています。これらのことから、今後は、相続対策の方法や不動産の活用方法も変化していくことが予測されます。

また、2024年の相続登記義務化、相続税の改正なども影響し、遺産分割におけるトラブルを未然に防ぐため、事前に相続対策を行う家族も増えています。

私たち、相続不動産に携わる専門家は、時代や法改正の対応に応じた対応ができるよう、より専門性を高めていく必要があると考えます。

ー最後に、相続不動産に関する知識を深めたい読者へのメッセージやアドバイスをお願いします。

相続の場面で誰もが必ず直面するのが、親族特有の複雑に絡み合った“感情”と“勘定”のぶつかり合いです。

親族がゆえに言えなかった過去の思いや出来事が、感情的に一気に噴出するのも他ならない相続の場面なのです。

相続不動産をめぐるトラブルも、多くの方が直面する課題ですが、適切な準備と対応を行うことで、衝突やストレスを回避しスムーズに問題を解決することができます。

本書で紹介している、具体的なトラブル解決法や事例を通じて、皆様の相続不動産に関するお悩み解決のサポートができればと考えています。

そして、必要な場合には専門家の力を借りることを忘れずに。皆様の円満相続を心から願っています。

■著者紹介

株式会社中央プロパティー 代表取締役 松原 昌洙
1970年生まれ、静岡県出身。
都内金融機関で7年間不動産ファイナンス業務を担当。その後、不動産会社に勤務。「現場にこだわる実践派」をモットーに、収益不動産などのアセットマネジメント・プライベートファンド業務を担当。不動産歴19年。
2011年に業界で唯一、共有名義不動産・借地権の売買仲介を扱う株式会社中央プロパティーを創業。
2019年6月に、一般社団法人相続総合支援協会を立ち上げ、代表理事に就任。
弁護士、司法書士、不動産鑑定士などの専門家とともに問題解決に取り組む体制を確立し、現在までに約4万件のトラブル相談解決を手がける。

著書に『頑固な寿司屋の大将も納得する!?よくある借地権問題』(ギャラクシーブックス)『[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

■監修者紹介

株式会社中央プロパティー 法務部 弁護士 都丸 翔五
2005年 東京大学法学部 卒業
2007年 東京大学法科大学院 卒業
2009年 司法修習生(62期)
2012年 弁護士資格取得
東京弁護士会所属。

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートを行う。前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する人への支援を担当しており、これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた経験がある。

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