利害関係人とは
利害関係人とは
利害関係人とは、一定の法律上の行為、行政庁の処分、人の地位などについて、その直接の当事者ではないものの、法律上の利害関係を有する者のことを言います。
利害関係人とは~相続財産管理人を選任するケースで解説~
主なケースとして、相続人全員が相続放棄をしたり、相続人がもともといないなどの理由で、相続財産管理人を選任する場合、利害関係人または検察官からの請求が必要となります。
第九百五十二条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
:e-Gov(民法952条)
相続財産管理人を選任請求ができる利害関係人には、以下のような人が該当します。
- 特別縁故者
- 債権者
- 相続放棄をした人
- 故人の後見人
- 不動産の共有者
- 地方自治体
①特別縁故者
特別縁故者とは、故人に法定相続人がいない場合、故人と親しい間柄にあったことなどを理由に、特別に相続を受けられる人を指します。
特別縁故者にあたる人は、主に以下のような人です。
- 故人と生計を同じくしていた者
- 故人の療養看護に努めた者
- 故人と特別の縁故があった者
②債権者
故人にお金を貸していた人も、利害関係人にあたります。
債権を回収するには、相続人や相続財産管理人に協力を仰ぐ必要があります。
第九百五十七条 第九百五十二条第二項の公告があった後二箇月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産の管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
:e-Gov(民法957条)
③相続放棄をした人
相続放棄をした人も、利害関係人に該当します。
相続放棄をした場合でも、相続財産管理人が選任されなければ、その人が遺産管理を継続して行う必要があります。
相続放棄する人としては、自分に代わる管理義務の引継ぎ先を探したいという意図がありますので、相続財産管理人の選任が請求できるようになっています。
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
:e-Gov(民法940条)
④故人の後見人
後見人とは、判断能力が低下した本人のために、契約締結などの法律行為をサポートする人を指します。
後見人は、サポートしていた本人(被後見人)が亡くなった場合、被後見人の相続人に財産を継承する必要があります。
法定相続人がいないケースや相続人全員が相続放棄をしてしまったケースでは、財産の継承先がなくなってしまうため、後見人は利害関係人として、相続財産管理人の選任請求をすることができます。
⑤不動産の共有者
故人と不動産を共有していた人も、利害関係人になります。
故人の共有持分は、相続人が不在の場合、他の共有者に帰属します。
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
:e-Gov(民法255条)
但し、持分の取得には、相続財産管理人が必要となるため、不動産の共有者も利害関係者になります。
地方自治体
地方自治体も、利害関係人に該当します。
例えば、空き家のまま故人の不動産が放置されてしまったり、相続登記が未了で誰が所有している不動産かわからない場合、地方自治体は勝手に建物を取り壊せるわけではありません。
不動産についても、相続財産管理人による手続きを経て、最終的に国庫に帰属することになります。その後に初めて、取り壊し等ができるのです。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で共有物分割や遺留分侵害額請求など相続で発生しがちな不動産のトラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。