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強制競売で第三者と共有関係になることに|弁護士Q&A

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強制競売で第三者と共有関係になることに

ご相談内容

一軒家の空き家を共有名義で所有しています。

祖父が亡くなり、まず、父と叔父が相続、その後叔父も亡くなり、その子供が相続しましたが、その子が事業に失敗し、共有持分だけが競売になってしまい、とある不動産会社がその権利を得ることになりました。

そうこうしている内に、自分の共有持分を買い取りたいという通知がありましたが、納得できる金額でもなく、ましてや弁護士から通知が来るなんて、どうすればいいのか不安です。

御社のことを知り、相談料も無料とのことだったので、どうすればいいのか教えてください。

ご相談のポイント

  • 共有者間での交渉が纏まらないとき
  • 共有持分の第三者への売却
  • 共有持分の評価の考え方
  • 共有持分の評価額の調査方法

①共有者間での交渉が纏まらないとき

現在、相手共有者が、ご相談者様の共有持分の買い取りを求めているところ、これは、共有者間での共有物分割の方法の1つ、『代償分割』と呼ばれるものです。

共有持分の売却に応じるか、応じるとして売買代金をいくらとするかは、あくまで共有者間の協議・合意で決めるべきものです。

しかし、協議が纏まらず、合意ができないとなれば、次のアクションとして、相手共有者が、ご相談者様を被告として、共有物分割請求訴訟を提起してくる恐れがあります(民法258条1項)。

この訴訟は、共有者全員が当事者となることが義務付けられていますので、共有持分を有している限り、裁判への参加を避けることができません。

そうなると、ご自身で出廷するにせよ、弁護士に依頼するにせよ、時間・費用の面で大きな負担がかかります。また、心理的・精神的にもマイナスです。

②共有持分の第三者への売却

これに対し、共有持分を共有者以外の第三者に売却する場合、相手共有者の同意は不要です。(民法206条)

共有持分を売却した時点で、共有者の立場から離れますので、仮に共有物分割請求訴訟を相手共有者に起こされたとしても、裁判にご自身で対応する必要もなくなります。

③共有持分の評価の考え方

但し、共有持分の評価額は、買主が相手共有者か第三者かで、大きく変わります。

まず、本件において、仮に、相手共有者がご相談者様の共有持分を買い取る場合は、相手共有者には、100%の所有権者になれるという大きなメリットがあります。

この場合の共有持分の評価額は、『不動産全体の価格×共有持分の割合』という単純な計算式をベースに考えて問題ありません。(もっとも、その金額で相手共有者が応じるかどうかは別問題です)

これに対し、共有持分の買主が第三者の場合、買主は、持分の購入後も、相手共有者が存在することで、物件の使用収益に制限がかかり、また、相手共有者から共有物分割請求訴訟を起こされた場合は、当事者として訴訟対応をする負担を背負うことになります。

そのため、第三者が購入する場合の共有持分の評価額は、前述の単純な計算式から大幅に減額されてしまいます。このことを『共有減価』と呼びます。

④共有持分の評価額の調査方法

前述の『共有持分』の問題もあり、共有持分の評価に当たっては、高度な専門知識が必要になります。

そのため、共有持分の評価額に関しては、不動産の専門家である不動産鑑定士に価格の調査・鑑定等を依頼するのが最も確実です。

不動産の『鑑定』は、不動産鑑定士にしか認められておらず(不動産会社が行なうものは『査定』にとどまります)、不動産関係の裁判手続でも、裁判所は不動産鑑定士の鑑定結果を根拠に判断を下します。

この意味でも、不動産鑑定士に依頼することが、最も信頼のできる(買主の納得が得やすい)共有持分の評価額を調べる手段と言えます。”

まとめ

共有者間で共有持分の買い取りの交渉が纏まらない場合、相手共有者から共有物分割請求訴訟を提起されるリスクがあります。

共有持分を第三者に売却すれば、共有関係から離脱しますので、訴訟対応の負担からも解放されます。

但し、共有持分の評価額は、売却相手が第三者の場合、共有減価が生じ、相手共有者が買い取る場合よりも大幅に評価が下がります。

共有持分の評価額の調査に関しては、不動産鑑定士に依頼することが、最も信頼できる結果を得る方法と言えます。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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