収益性の低い共有名義のアパートはどうするべき?
収益性の低い共有名義のアパートはどうするべき?
ご相談内容
10年前に父から相続したアパートは私達兄弟2人と叔母での共有名義になっていますが、そのアパートも老朽化しており、今では10部屋のうち、2部屋(賃借人2人)しか入居されていない状況です。
賃借人の方も高齢のため、アパートの建替えで退去していただくことも負担をおかけするし、かと言って修繕だけでも結構お金がかかる状態です。
新しく入居者の募集をしておりますが、なにぶん、古アパートであるためか、申込みがほとんどない状況が続いております。兄弟と叔母と協力しアパートの建替えを行い、収益率をあげたいのですが、叔母との意見は異なります。
叔母も高齢で、建替えをすることが資金上、負担になることは分かっていますし、何より叔母にとっては思い入れのあるアパートなので手放すことも考えていません。
私達兄弟にとって収益をあげないと、管理問題、修繕費用や固定資産税等の費用負担が今後重くのしかかってくることは明白です。それらを考えると、私達の持分を叔母に贈与してもいいとまで考えています。
何か良い解決方法があるのでしょうか。
ご相談のポイント
- 共有持分の贈与と税金
- 共有持分の第三者への売却
- 共有持分の買い手
①共有持分の贈与と税金
まず、不動産の共有持分の贈与は、受贈者となる叔母様との間で合意できれば、自由に行なうことができます。
しかし、この場合、叔母様には、不動産取得税の他に、贈与税が課されることになります。
特に、本件のような収益物件の場合、共有持分のみとはいえ、叔母様には相当高額な贈与税が課されることが予想されます。
なお、たとえ売買の形が取られていても、売買価格が不合理に低廉な場合は、実質的に贈与とみなされて、贈与税が課税されるリスクがあります。
また、本件の場合は、ご兄弟の共有持分を取得した叔母様は、不動産の100%の所有権者となりますので、共有持分であることを理由した売買価格の減価(共有減価)は、基本的に生じないものと考えられます。
したがって、仮に叔母様との間で共有持分の売買を行なう場合は、市場価値をベースに共有持分の売買価格を算定する必要があります。
②共有持分の第三者への売却
叔母様の側で、贈与税の支払い(贈与の場合)あるいは売買代金の支払い(売買の場合)を行なうだけの資力がない場合は、叔母様に共有持分を譲渡する形での解決は、現実的には困難と言えます。
このような場合は、共有持分を第三者へ売却する形での解決が選択肢となります。
共有持分の売却については、叔母様の同意は不要であり、各共有者が単独で行なうことができます(民法206条)。
③共有持分の買い手
もっとも、少なくとも一般の個人の方が、収益性が落ちている収益物件の、しかも共有持分だけを購入するということは、まず考えにくいです。
そのため、共有持分の買い手の候補は、事実上、法人や投資家といった、いわゆるプロの方々に限られてきます。
当社では、プロ向けに特化した販売活動を行い、かつ、独自の入札システムを採用することで、通常は売却困難な共有持分であっても、短期かつ適正価格でのご売却の実現に尽力しています。
まとめ
共有持分を贈与した場合、受贈者には高額な贈与税が課されます。
売買の形が取られていても、売買価格が低廉な場合は、実質的な贈与とみなされるリスクがあります。
共有持分の第三者への売却は、他の共有者の同意なく可能ですが、事実上、共有持分の買い手は、法人・投資家に限られてきます。
当社では、プロ向けの販売活動と独自の入札システムにより、短期間かつ適正価格での共有持分の売却に尽力しています。
この記事の監修者
社内弁護士
当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。