底地を兄弟で共同相続しました
底地を兄弟で共同相続しました
ご相談内容
父が亡くなり、兄弟3人で土地を相続しました。
土地の名義は私と兄、姉の3人ですが、土地は底地であり、借地として他人名義の建物が建っています。(土地上に借地権付き建物がある状態)
父と古くからの付き合いで借地として貸しており、当時の賃貸借契約で月3,000円ほどしかない状況です。 弁護士と相談し賃料値上げ交渉を行いましたが、値上げの上限もあり、固定資産税を全額納付できる状態ではありません。完全に赤字です。
私としては、持分を手放したいですが、兄と姉の考えは違います。 親から引き継いだ土地なので手放したくないという兄と借地人の方に土地を買い取ってほしいと思う姉。兄弟で意見が異なります。
このような状況が続くのが嫌なので、せめて私の持分は手放したいのです。
地元の不動産屋に相談したものの、権利関係の複雑さから断られてしまい、御社に相談しました。
ご相談のポイント
- 底地の共有持分は単独で売却可能
- 底地の売却が難しい理由
- 共有持分の売却が難しい理由
- それでも買主を見つけられる
①底地の共有持分は単独で売却可能
底地が共有の場合、お姉様が希望されているように、底地を全体で売却するためには、全共有者の同意が必要です(民法251条1項)。
これに対し、ご相談者様が検討されている、底地の共有持分の売却に関しては、他の共有者の同意は不要であり、単独で売却が可能です(民法206条)。
但し、法律上は単独での売却が可能とはいえ、一般的な不動産と比べたとき、ただでさえ底地の需要は低く、それがさらに共有持分のみの売買となれば、通常は、購入希望者を見つけること自体が非常に困難です。
②底地の売却が難しい理由
底地を売却した場合は、底地の買主が、借地契約上の貸主の地位を引き継ぐことになります。
すると、買主は、借地人が存在するために、買った土地を自由に使うことができず、かといって、借地契約の更新拒絶には正当事由が必要とされるため(借地借家法5条・6条)、半永久的に借地人から土地が返還されない可能性すらあります。
その他にも、買主の立場からすると、地代の収益性が低い、借地人との交渉の負担も引き継ぐことになる、底地を担保に金融機関から融資を受けられない等のデメリットがあります。
そのため、不動産市場における底地の需要は、非常に低いものとなっています。
③共有持分の売却が難しい理由
既にご相談者様自身も経験されているとおり、不動産が共有状態の場合は、不動産の処分・管理・使用について、常に他の共有者との協議が必要になり、自分の自由にすることができません。
共有者間で意見が一致しない場合は、結局、共有者の望まない形で現状が維持されることになり、いつまでも不動産を有効に活用することができません。
共有持分の買主は、そのような権利に制限のかかった不便な状態を、売主からそのまま引き継ぐことになるため、共有持分もまた、不動産市場での需要は非常に低いものとなっています。
④それでも買主を見つけられる
このように、本件には、売却が困難な要素が重なって存在するところですが、当社では、それでもなお、底地の共有持分の買主をお探しすることが可能です。
当社では、提携している多数の法人・投資家の方々に向けて販売活動を行なうとともに、独自の入札システムを採用することで、売主様にとってより良い売却条件を引き出すことを目指しています。
こう聞くと、「なぜ法人・投資家向けなのか?一般の個人に向けても販売活動をする方が良いのではないか?」という疑問を持たれるかもしれませんが、一般の個人が、前述のような様々なデメリットを承知の上で、敢えて底地や共有持分の購入を希望するということは、実際には殆ど考えられません。
底地や共有持分のような、通常は売れない不動産を購入できるのは、購入後の活用プラン及びプランを実行する資金力を持っている、いわゆるプロの方々に事実上限られています。
まとめ
法律上、底地の共有持分の売却は、他の共有者の同意がなくとも単独で行なうことが出来ます。
但し、底地であること及び共有持分であることによるデメリットから、不動産市場における需要は非常に低く、通常は購入希望者を見つけること自体が困難です。
当社では、提携している多数の法人・投資家向けに販売活動を行なうとともに、独自の入札システムによって、より良い売却条件を購入希望者より引き出すことを目指しています。
この記事の監修者
社内弁護士
当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。