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共有者が行方不明!離婚後の共有名義マンション

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共有者が行方不明!離婚後の共有名義マンション

ご相談内容

結婚と同時に夫婦二人の共有名義でマンションを購入しましたが、離婚後に夫が家を出ていき所在も分かりません。

共有名義になっており、住宅ローンも残っているので処分も出来ない状況です。

夫の借金を背負う不安もあり、私の不動産持分だけでも売却できないでしょうか?

住宅ローンの連帯保証人になっているため、困っています。

ご相談のポイント

  • 共有者が所在不明の場合に考えられる対応
  • 担保物件の共有持分の売却の問題
  • オーバーローンの持分の売却は不可能か

①共有者が所在不明の場合に考えられる対応

共有不動産を全体売却するためには、共有者全員での合意が必要です。(民法251条1項)

けれども、共有者が所在不明の場合は、そもそも共有者間での協議自体が不可能です。

このようなケースへの法的な対応としては、失踪宣告、不在者財産管理人の選任、公示送達を利用した共有物分割請求訴訟、令和3年法改正で導入された所在等不明共有者の持分取得の裁判等が考えられます。

但し、いずれも裁判所での手続が必要になりますので、全体売却を実現するには、相応の時間・費用の負担が避けられません。

これに対し、共有持分の売却は、他の共有者の同意なく行なうことができます。(民法206条)

共有者が所在不明であっても、ご自身の共有持分の売却に支障はありません。

しかしながら、本件のように、共有物件が住宅ローンの担保となっている場合には、別な観点からの検討が必要となります。

②担保物件の共有持分の売却の問題

まず、住宅ローンの残がある状態で共有持分を売却した場合、持分の買主は、抵当権の負担付きで共有持分を購入をすることになります。

また、ご相談者様が共有持分を売却しても、夫のローン残がある限り、夫の連帯保証人としての返済義務は免除されません。

結果、買主も売主も、所在不明の夫がローン返済を滞納したら競売や一括請求をされるリスクを抱えた、極めて不安定な状況に置かれることになります。

このような不安定な状況を解消するためには、夫のローン残を完済できる金額で買主に共有持分を購入して貰う必要があります。

仮に、住宅ローンの返済がある程度進んでいて、共有持分の価値がローン残を既に上回っているのであれば、ローン残以上の金額での売買契約を纏めることへの支障は少ないと言えます。

③オーバーローンの持分の売却は不可能か

問題は、共有持分の価値がローン残を下回るオーバーローンの状態であるときです。このような場合、ローン残以上の金額での売買は一切不可能でしょうか。

少なくとも、一般の個人の方(例えばマイホームの購入を考えている人)が、このような条件での売買に応じることはあり得ません(そもそも共有持分の購入自体を検討しません)。

これに対し、法人・投資家のようなプロは、現時点での物件自体の価値に加えて、取得後の運用を中長期的にシミュレーションした上で、購入の可否・条件を検討します。

したがって、投資家の目線で見たときに、共有持分の取得後の運用益・期待利回り等が十分に見込まれ、投下した売買代金を上回る資金回収が中長期的にみて確実と判断される場合には、ローン残以上での金額での購入を検討して貰える可能性があります。

まとめ

共有者が所在不明の場合、全体売却を行なうためには裁判手続が避けられません。

これに対し、共有持分の売却は、共有者と無関係に行なうことができます。

抵当権の負担付の売買ということになりますが、所在不明共有者名義のローンの返済が滞ったときのリスクを消すには、ローン残を完済できる金額での売買を行なうことが必要になります。

現時点での持分の価値がローン残を下回る場合であっても、投資家の目線から、中長期的にみて、投下した売却代金を上回る資金回収が確実である場合には、ローン残を完済する水準での購入を検討して貰える可能性もあります。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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