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共有名義よりもローンは夫のみの単独名義がおすすめな理由

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共有名義よりもローンは夫のみの単独名義がおすすめな理由

共有名義よりもローンは夫のみの単独名義がおすすめな理由

共有名義の不動産はトラブルになりやすいと言われています。

そのため、マイホーム購入時に夫婦共有名義にするか、ローンは夫のみの単独名義にするかで悩まれている人は多いかもしれません。

結論を先に述べると、ローンは夫のみの単独名義がおすすめです。共有名義でローンを組むと、妊娠や出産、離婚などライフプランの変更に対応しにくいからです。

本記事では、どのようなケースで住宅ローンが共有名義もしくは単独名義になるのか、そして共有名義の住宅ローンの種類やメリット・デメリットを解説します。

<この記事でわかること>

  • 共有名義の住宅ローンの種類
  • 夫婦共有名義ローンのメリット
  • 夫婦共有名義ローンのデメリット

住宅ローンの共有名義と単独名義の違い

住宅ローンには共有名義と単独名義があります。
単独名義は一つの不動産に対し、所有者が一人の状態を指します。共有名義は一つの不動産に対して、所有者が複数人いる状態です。

登記簿には、単独名義であれば所有者一人の名前が記載され、共有名義であれば所有者複数人の名前が記載されます。

共有名義の場合、物件に対してそれぞれが権利の割合(持分)を有しており、登記簿にも持分/3分の1、持分3分の2などのように記載されます。

夫婦共有名義でローンを組むケース

夫婦共有名義でローンを組むケースは、主に以下の2パターンです。

  1. 夫婦で住宅ローンを契約した場合
  2. 夫婦で住宅購入資金を負担した場合

1.夫婦で住宅ローンを契約した場合

住宅を取得した際の負担額の割合(返済負担割合)が、一般的には持分割合となります。
例えば3,000万円の不動産で夫1,500万円、妻1,500万円の住宅ローンを契約するなら、夫婦ともに2分の1ずつの持分割合です。

夫婦で住宅ローンを契約した場合(不動産:3,000万円)

夫婦で組む住宅ローンは、ペアローン・連帯債務型・連帯保証型の3つです。

各ローンの特徴などは後述します。

2.夫婦で住宅購入資金を負担した場合

住宅を購入する際には、自己資金で頭金を支払い、残りを住宅ローンで返済していくケースが一般的です。

仮に3,000万円の物件で妻が頭金600万円を支払い、夫の住宅ローン契約が2,400万円だとすると、持分割合は妻10分の2、夫10分の8となります。

夫婦で住宅購入資金を負担した場合(不動産:3,000万円)

夫婦どちらかの単独名義でローンを組むケース

夫婦どちらかの単独名義で住宅ローンを契約するケースは、主に以下の2パターンです。

  1. 夫または妻のみが住宅ローンを契約した場合
  2. 夫または妻が住宅購入資金を贈与した場合

1.夫または妻のみが住宅ローンを契約した場合

頭金も住宅ローン契約も夫のみ、または頭金も住宅ローン契約も妻のみのパターンが単独名義になります。

2.夫または妻が住宅購入資金を贈与した場合

住宅を取得した際の負担額の割合が一般的には持分割合となりますが、物件取得後に持分割合を変更することもできます。

例えば3,000万円の物件購入時に妻が頭金600万円を支払い、夫の住宅ローン契約が2,400万円だった場合、原則、持分割合は妻10分の2、夫10分の8の共有名義不動産です。

しかし妻の持分割合を設定せずに夫の単独名義不動産とすることも可能です。この場合は妻から夫への贈与とみなされ、贈与税が発生する可能性があるので注意しなければいけません。

共有名義の住宅ローンの種類

夫婦で住宅ローンを組む場合、ペアローン・連帯債務型・連帯保証型の3つの方法があります。

住宅ローンの3つの種類

どの方法を採るかによって、団体信用生命保険への加入可否や住宅ローン控除の可否などが変わってきます。

1.ペアローン 

それぞれが独立した住宅ローンを契約するため個別に債務を負い、夫婦がお互いに連帯保証人になります。

住宅ローン契約が2本になるため、事務手数料や印紙代、登記費用などの諸経費が通常の住宅ローンより2倍かかる点には留意しなければいけません。

ペアローンを組むと必然的に共有名義となり、共働きのパワーカップルと言われる「世帯総年収1000万円以上」の7割以上が、このペアローンを利用しています。

ペアローンの特徴は下記のとおりです。

ペアローン
住宅ローンの契約2本
団体信用生命保険夫も妻も加入できる
住宅ローン控除夫も妻も利用できる
所有権夫も妻もあり
収入合算合算できない個別に算定

2.連帯債務型ローン

連帯債務者は主債務者と同等の返済義務を負い、不動産は共有名義となります。

連帯債務型の特徴は下記のとおりです。

連帯債務型
住宅ローンの契約1本
団体信用生命保険主債務者:加入できる
連帯債務者:基本は加入できないが金融機関による
住宅ローン控除主債務者:利用できる
連帯債務者:利用できる
所有権主債務者:あり
連帯債務者:あり
収入合算合算できる

3.連帯保証型ローン

連帯保証人は、債務者が返済できない場合に債務者に代わって返済しなければいけませんが、物件は債務者の単独名義となります。

連帯保証型の特徴は下記のとおりです。

連帯保証型
住宅ローンの契約1本
団体信用生命保険債務者:加入できる
連帯保証人:加入できない
住宅ローン控除債務者:利用できる
連帯保証人:利用できない
所有権債務者:あり
連帯保証人:なし
収入合算合算できる

 夫婦共有名義ローンのメリット

夫婦で住宅ローンを組むメリットは、以下の3点です。

  1. 高額な不動産を購入できる
  2. 住宅ローン控除が二人とも受けられる
  3. 相続税対策ができる

1.高額な不動産を購入できる

住宅ローンの借入可能額は名義人の収入で判断されるため、希望する物件の価格によってはローンが組めないことがあるかもしれません。

結果的に購入できる物件の選択肢が広がります。

2.住宅ローン控除が二人とも受けられる

ペアローンと連帯債務型では、住宅ローン控除が夫婦どちらも利用できるという税制上のメリットがあります。

住宅ローン控除とは、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が最大13年間、所得税や住民税から控除される制度です。
一人につき年間の控除限度額は最大35万円となっており、夫婦どちらも住宅ローン控除が使えるとなると上限が2倍になり、所得税を大きく節税できる可能性が高まります。

共有名義にしていることで夫の負担額が少ないため、単独名義よりも節税効果は低くなります。

3.相続税対策ができる

不動産を所有する人が亡くなると、その不動産は相続人に相続されます。

単独名義であれば不動産の評価額がそのまま相続税の課税対象になりますが、共有名義であれば亡くなった人の持分に応じた部分のみが課税対象になり、単独名義よりも相続税を減らすことができます。

例えば夫の単独名義、評価額5,000万円の不動産があったとします。夫が亡くなり相続が発生すると、5,000万円の評価額をもとに相続税が計算されます。

夫婦共有名義ローンのデメリット

夫婦共有名義ローンのデメリットは、主に以下の4つです。

  1. 離婚時の財産分与で揉めやすい
  2. ライフプランの変更に対応しにくい
  3. 死別時の残債負担リスクがある
  4. 相続時にトラブルになりやすい

1.離婚時の財産分与で揉めやすい

夫婦共有名義ローンを組んでいたが、離婚することになったとしましょう。そうすると財産分与をしなければいけませんが、住宅ローンの返済中であれば金融機関も関わってきます。

また、共有名義不動産の売却には共有者全員の同意が必要です。仮に夫が売却を希望しても妻が売却に反対であれば、売却を進めることはできません。

2.ライフプランの変更に対応しにくい

夫婦共有名義ローンは夫婦の収入を合算して借り入れができるため、購入予算を上げられるのがメリットです。しかしそれは、一人では返せない額を借りていることにもなります。

また、収入がなくなれば所得税は発生しないため、メリットとなっていた住宅ローン控除は受けられなくなります。

3.死別時の残債負担リスクがある

住宅ローンの返済中に契約者に万が一のことがあったとき、団体信用生命保険(団信)に加入していれば住宅ローンの債務は保険金で弁済されます。

団信への加入は強制ではありませんが、多くの金融機関で団信への加入を融資の要件としているため、ほとんどのケースで団信に加入しています。

ところが夫婦共有名義ローンの場合は、希望すれば団信に加入できるわけではありません。

団体信用生命保険への加入可否
ペアローン夫婦それぞれが加入できる
連帯債務型基本は主債務者のみ(金融機関による)
連帯保証型債務者のみ加入できる
連帯保証人は加入できない

夫婦の収入合算で借り入れていた住宅ローンを、夫一人の収入で返済しなければいけません。
ペアローンを組み、妻が専業主婦の状態のときに夫が亡くなれば、夫の債務は団信で弁済されますが、収入がない妻の住宅ローンはそのまま残ります。

4.相続時にトラブルになりやすい 

不動産が共有名義になっていると、相続時にトラブルになりやすいと言われています。共有名義と単独名義では相続の対象となる人数が変わってくるからです。

例えばA・B二人の共有名義不動産だったがAが亡くなり、相続人がC・Dだったとします。当初二人の共有名義でしたが、この時点でB・C・D三人での共有名義になります。さらにBも亡くなり相続人がE・F・Gだとすると、共有者はC・D・E・F・Gの五人です。

共有者が増えると共有者全員の足並みを揃えるのが難しくなり、増改築や売却をする際にスムーズに手続きを進められなくなるので注意しなければいけません。

よくあるご質問

夫婦共有名義にすると、住宅ローン控除はどうなりますか?

回答:
夫婦共有名義の場合、それぞれの持ち分に応じて住宅ローン控除を受けることが可能です。たとえば、夫が60%、妻が40%の持ち分でローンを組む場合、双方が各持ち分に対応した金額で控除を受けられます。ただし、控除を受けるには、共有者それぞれが収入を得ており、ローンを返済している必要があります。

夫婦共有名義の持分割合はどのように決めるべきですか?

回答:
持ち分は、頭金や住宅ローンの負担割合に基づいて決めるのが一般的です。たとえば、夫が頭金の70%、妻が30%を負担する場合、持ち分もそれに合わせるのが自然です。ただし、将来の財産分与や相続を考慮して、夫婦で話し合いながら決定することをおすすめします。

夫婦共有名義にすると、離婚時や相続時にトラブルになる可能性はありますか?

回答:
共有名義にすると、離婚時には持ち分割合に応じた分割が求められます。相続時には、相続人全員が権利を主張できるため、遺産分割協議が必要になります。トラブルを避けるためには、事前に遺言書を作成したり、信託制度を活用したりする方法もあります。弁護士や税理士に相談しておくと安心です。

住宅購入時、夫婦共有名義にしない方がいいのでしょうか?

回答:
夫婦共有名義にするかしないかは、それぞれの状況や目的によって異なります。一概に「しない方がいい」とは言えませんが、以下のポイントを考慮すると判断しやすくなります。

夫婦共有名義にしない方が良いケース

①どちらか一方の収入が圧倒的に多い場合
高収入の一方が単独名義で購入すると、住宅ローン控除の最大額を受けやすくなります。共有名義にすると控除枠が分散されるため、控除の恩恵が少なくなることがあります。

②離婚時の財産分与が心配な場合
共有名義にすると、離婚時に持ち分の分割や不動産売却でトラブルになる可能性があります。単独名義にしておけば、分割の手間を省けることもあります。

③将来的な相続やトラブルを避けたい場合
共有名義だと、どちらかが亡くなった際に相続が発生し、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。単独名義なら相続手続きが簡易化されます。

夫婦共有名義が向いているケース

①両者が住宅ローンを組むことで借入可能額を増やしたい場合
②双方が頭金やローン返済に明確な金額を負担する場合
③夫婦で公平に資産を保有したいと考える場合

この記事の監修者

福島 健太フクシマ ケンタ

税理士

税理士。東京税理士会品川支部所属。日本税務会計学会訴訟部門所属。福島健太税理士事務所代表。不動産デベロッパーから税理士に転身した経歴をもつ不動産と税のスペシャリスト。共有持分で不動産を相続される方が相続税を相談する税理士として多くの顧客を得る。趣味は釣り。

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