共有・総有・合有とは
共有・総有・合有とは
共有
数人がそれぞれ共同所有の割合としての持ち分を有して、1つの物を所有すること。
- 各共有者はその持ち分につき処分の自由を有します。
- 各共有者は共有物につき持分に応じた分割請求の自由(民法256条1項本文)を有します。
合有
各共有者は、持分を潜在的には有する持分の処分の自由が否定、目的物の分割請求の自由も否定されています(民法676条2項)。
例:組合財産に対する組合員の共有の形態がこれに当たる。
総有
各共同所有者は目的物に対して利用・収益権を有するのみで、管理権は慣習や取引による代表者が行使する形態で、持分請求はありません。
例:入会権、権利能力なき社団(設立登記前の会社や町内会、サークルなど)。
各人との結合関係 | 管理権と収益権との関係 | 持分権の譲渡と 分割の請求 | 具体例 | ||
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個々の目的物 | 財産全体 | ||||
共有 | ある目的を共有する限りで、偶然的な関係でしかなく団体を形成しない | 管理権・収益権も各人に帰属 | 各人の自由 | × | 共同相続財産 |
合有 | 共同目的達成のため、団体的結合を作る | 収益権は各人に帰属するが、管理権は団体に帰属 | 制限が強い | 持分権の処分は制限、分割請求もなし | 組合財産 |
総有 | 各人は団体に包摂されるが、各人も全体的に独立性を失わない | 収益権は各人に帰属するが、管理権は団体に帰属 | そもそも持分が 無く認められない | 入会権 権利能力なき社団 |
この記事の監修者
弁護士
弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。不動産の共有関係解消など相続と不動産分野の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。