共同訴訟とは
共同訴訟とは
民事訴訟法38条:「訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。」
共同訴訟は、原被告どちらか一方が複数いる場合がこれに当たります。例えば、同じ事件の被害者等は共同訴訟を提起することができます。
共同訴訟の中でも必要的共同訴訟については、共同訴訟でなければ原告被告適格がなく裁判ができません(数人が共同してはじめて当事者適格が認められる訴訟)。
(必要的共同訴訟)
民事訴訟法40条1項:「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。」
同条2項:「前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。」
同条3項:「第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。」
共有物に関する訴訟はこの必要的共同訴訟とされます。すなわち、共有(共同所有)関係自体が訴訟物になる場合、例えば、共有関係自体の確認請求、共有地についての境界確定訴訟は、固有必要的共同訴訟です。要するに、原被告どちらかで裁判に関わっていればよいということです。
必要的に共同訴訟とされる理由は、それぞれ違う訴訟を提起し、矛盾するような判決が出てしまうことを防ぐためです。例えば、A訴訟では現物分割、B訴訟では換価競売と同じ共有物に関する訴訟で異なる判決が出てしまうとその後は混乱してしまいます。
そこで、「共有者全員で訴訟をして下さい。ただ、原告側被告側どちらでも可!」ということです。
必要的共同訴訟の特徴
- 最初から共同訴訟として提起しない限り、訴えが不適法として却下されます。
- 共同訴訟人の1人の訴訟行為は、全員にとって有利なものは全員に効力が生じますが、不利なものは全員が揃ってしない限り効力が全く生じません。
- 自白、請求の放棄、請求の認諾は、共同訴訟人全員が行わなければ効力が発生しません。
- 共同訴訟人が訴えを取り下げるときは、共同訴訟人全員が共同で訴えの取下げをする必要があります。
- 共同訴訟人の相手方の訴訟行為は、1人に対してなされたものでも、共同訴訟人全員に対して効力が発生します。
- 共同訴訟人の1人について、手続の中断・中止の原因があるときは、共同訴訟人全員について訴訟の進行が停止されます。
- 共同訴訟人を別々の訴訟に分けるような弁論の分離は認められません
この記事の監修者
弁護士
弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。共有物分割訴訟、遺産分割調停、遺留分侵害額請求など共有持分をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。