母の持っている共有持分を一刻も早く売却したい|弁護士Q&A
母の持っている共有持分を一刻も早く売却したい
ご相談内容
私Aには高齢の母親Bがいいます。
- 母親Bが相続した甲共有地の持分を売却したいという相談です。
- 現在11名の共有地で親戚筋でない方達との共有地です。共有者の皆様の連絡先もわかりません。できるだけ早く売却したいのですが、不動産に関して無知なためどうすれば良いのかわからず困っております。なお、場所は福岡県になります。
詳細解説
1. 母の相続した共有名義不動産の売却について
まず、いくら身内とはいっても勝手に他人名義(親名義)の財産を処分はできません。母親の財産を適法に処分するためには、代理契約を結んで、母親の代わりに処分する方法が考えられます。
(1)代理契約
(代理行為の要件及び効果)
民法99条:「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。」
本人(母親)との代理契約を締結する必要があります。無事代理契約を交わすことができると、代理人(A)と相手方が行った法律行為(売買契約や贈与契約)は、本人に直接帰属します。例えば、代理人Aと相手方との甲共有地の売買契約は直接母親Bに効果が帰属します。
(2)成年後見制度
また、本件母親Bは高齢ということもあり、Bの状況にもよりますが、成年後見制度を利用する方法もあります。
状況にもよりますがというのは、下記条文があるためです。
(後見開始の審判)
民法7条:「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。」
Bが「事理を弁識する能力を欠く状況」になければ、成年後見制度を利用することはできません。成年後見制度が利用できる場合、子であるAがBの成年後見人に就くことで、Bの財産を処分できる権限が与えられます。子であるAが成年後見に必ずなる必要はなく、弁護士などの専門家でも問題ありません。
なお、この成年後見に関して最近(2019年3月18日)、最高裁判所から最新の見解が出ています。具体的には、「成年後見人には「親族が望ましい」」という見解です。
後見人になった家族の不正などを背景に弁護士ら専門職の選任が増えていた実情がありましたが、「本人の利益保護の観点から親族らを後見人に選任することが望ましい」と考えを提示しています。
今後は弁護士などの専門家等が後見人になるよりも、親族が後見人になるケースが多くなると予想されます。
2. 共有者全員の連絡先がわからない
本件では、血縁関係のない人、11人と共有状態にあり、一刻も早く売却をしたいと考えているものの、他の共有者の連絡先が不明という状況です。
連絡先を探し出したり、現地に行って調査をしたりというと時間やそれにかかる費用もかかってきてしまいます。費用と労力をかけて連絡を取ったところで、共有地の売却に賛同してくれるとも限りません。そうなった場合には、さらに売却の交渉をしていかなければなりません。
そのような煩雑なことをせず、自己の共有持分のみ売却できれば、金銭も手に入りますし、連絡が取れない人を捜索する等の手間も省けます。
関連記事:共有持分とは?
特に本件の共有不動産がある場所は、福岡県ということもあり、立地条件によるところもありますが、売却できる可能性は非常に高いと考えられます。
当社は東京にありますが、売却の際は現地に直接出向いて手厚いサポートを致します。業界随一の共有持分の専門家集団、中央プロパティーにお任せください!!
この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。共有持分を始めとした相続トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。