アメリカにおける所有権(共有持分)の種類|弁護士Q&A
アメリカにおける所有権(共有持分)の種類
アメリカにおける所有権(共有持分)の種類について
海外では家と土地は一緒という概念があると聞きました。共有持分も日本と海外、例えばアメリカ等とでは概念が違うのでしょうか。
日本の所有権の形態
日本の所有権については、以下の条文があります。
(所有権の内容)
民法206条:「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」
所有権があるということは、自己の所有物を使用し、収益し、処分することが自由にできます。ただ、他の人に迷惑をかけないという、公共の福祉に反しないという条件は付きますが。その他所有の形態として法律で定められているのは、「共有」くらいしかありません。
(共有物の使用)
民法249条:「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。」
アメリカの場合
それでは、アメリカの所有権の形態を見てみましょう。アメリカでは、日本よりも多くの所有形態が想定され制度としてあります。
以下、簡単に紹介いたします。
- Tenancy by the Severalty(テナンシー・バイ・ザ・セブラルティー)単独での所有権のことを言います。日本の所有権と概念はほぼ一緒です。
- Tenancy by the Entirety(テナンシー・バイ・ザ・エンタイアティー)こちらは「夫婦」が共同で所有する形式です。夫婦の一方が亡くなった場合、自動的にすべての権利を残った配偶者に移ります。相続が発生するのは、本ケースですと夫婦ともに亡くなった場合になります。
- Tenancy in Common(テナンシー・イン・コモン)日本の「共有」と一番近い形態です。共有者の一人が亡くなった場合には、相続が起きますが、他の共有者への影響はありません。まさに、日本の共有と同じです。
- Joynt Tenancy(ジョイント・テナンシー)こちらも共有の一種ですが、1. 権利の割合は平等2. 共有者のうち誰かが亡くなった場合、残りの生存者に亡くなった人の権利が自動的に移行という日本の共有とは大きな違いが2つあります。なお、すべての権利者が死亡すればその時点で相続手続きが発生します。
いかがでしたか?国によって異なるのは、非常に興味深い話ですよね。次は、ヨーロッパ等の状況も解説してみようと思います。ご期待ください!
この記事の監修者
弁護士
弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で共有物分割や遺留分侵害額請求など相続で発生しがちな不動産のトラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。